「な」を含む故事・ことわざ・慣用句
「な」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1700 件
風穴を開ける(かざあなをあける)
銃や刀などで胴体を貫くような穴を開けるという脅し文句のこと。 また、組織や状態が硬直しているところに、新しい風を吹きこむことのたとえ。
風上にも置けない(かざかみにもおけない)
性質や行動が下品で卑劣な人間をののしっていう言葉。 悪臭のある物は臭くて困るので、風上に置くわけにはいかないとの意から。 「風上に置けない」ともいう。
火事と喧嘩は江戸の花(かじとけんかはえどのはな)
江戸は人家が密集していたため大火事が多く、火消しの働きぶりが華やかであった。また、江戸っ子は気が短いため喧嘩も威勢がよく派手であった。この二つが江戸の名物だったということ。
歌人は居ながらにして名所を知る(かじんはいながらにしてめいしょをしる)
歌人は古歌や歌枕の研究によって、実際にその場所に行ったことはなくても、名所について詳しいということ。
数でこなす(かずでこなす)
一つ一つの利益は小さいが、大量に売り捌くことによって採算がとれるようにすること。
稼ぐに追い付く貧乏無し(かせぐにおいつくびんぼうなし)
一生懸命働けば、貧乏に苦しむことはないというたとえ。 「稼ぐに貧乏追い付かず」「辛抱に追い付く貧乏なし」「稼げば身立つ」ともいう。
風に柳(かぜにやなぎ)
柳が風になびくように、巧みに受け流すこと。 「柳に風」ともいう。
片腕を失う(かたうでをうしなう)
最も信頼していた人を失い、ひどく悲しむさま。 「片腕」は、自分の腕のように信頼できて頼りになる人のことで、その人を失うとの意から。
肩が軽くなる(かたがかるくなる)
重たい責任や負担がなくなって気が楽になること。 肩こりがとれて楽になるとの意から。
片口聞いて公事を分くるな(かたくちきいてくじをわくるな)
訴訟の裁きは、一方の言い分だけを聞いて判定してはいけないということ。「片口」は一方だけの言い分、「公事」は訴訟のこと。
硬くなる(かたくなる)
緊張してしまい、言動がぎこちなくなること。
刀折れ矢尽きる(かたなおれやつきる)
物事を続けていく手段がなくなってしまうことのたとえ。 刀が折れ、矢が尽きて戦う手段がなくなってしまうとの意から。 「弓折れ矢尽きる」ともいう。
肩を並べる(かたをならべる)
横に並ぶこと。また、実力や地位が対等の位置に立つこと。
勝ち名乗りを上げる(かちなのりをあげる)
試合などに勝ち、勝利を宣言すること。 相撲で、行司が力士の名を呼ぶ意から。
勝手な熱を吹く(かってなねつをふく)
言いたい放題にいうこと。大げさにいうこと。
かっとなる(かっとなる)
感情がたかぶって冷静な判断ができなくなる。頭に血が上る。
河童の川流れ(かっぱのかわながれ)
どんな達人でも、たまには失敗することがあるということ。 泳ぎが得意なはずの河童でも、時には水に押し流されることがあるとの意から。
鼎の軽重を問う(かなえのけいちょうをとう)
権威ある人の実力や能力を疑うたとえ。「鼎」は古代中国で使われた金属性の器のことで、祭器として用いられたことから、王位の象徴となった。楚の荘王が周を軽んじ、周王室の九鼎の大小や軽重を問うたという故事から。
鼎の沸くが如し(かなえのわくがごとし)
鼎の中で湯が沸き立つように、物事が混乱して騒がしく、おさまりがつかないことのたとえ。
金釘流(かなくぎりゅう)
文字を書くことが下手なことを「金釘を連ねたようだ」と、書の流派の一つに見立てて馬鹿にした言葉。
金鎖も引けば切れる(かなぐさりもひけばきれる)
鉄製の鎖も時には切れることがあるように、どんなに意志の強い人でも誘惑に負けることがあるというたとえ。
金轡を嵌める(かなぐつわをはめる)
金銭を渡して苦情を言わせないようにすること。また、賄賂を渡して口止めすること。 馬に轡をはめて、乗り手の思いのままに走らせることから。
悲しい時は身一つ(かなしいときはみひとつ)
困ったり落ちぶれたりすると、他人は当てにならず、頼りになるのは自分だけだということ。「身一つ」は財産もなく自分の体だけという意。
金縛りにあったよう(かなしばりにあったよう)
恐怖などで急に体がこわばって身動きができない様子。 また、借金など金銭に関する都合により自由を奪われている状態のこと。 「金縛り」は、鎖などで縛りつけること。
金槌の川流れ(かなづちのかわながれ)
人に頭が上がらないことのたとえ。また、出世する見込みがないことのたとえ。水に入れた金槌は、柄は浮くが頭の部分は沈むことから。
金棒引き(かなぼうひき)
ささいなことを大げさに触れ回る人のこと。本来は、金棒を突き鳴らしながら夜警する人のこと。
金棒引き(かなぼうひき)
ささいなことを大げさに触れ回る人のこと。本来は、金棒を突き鳴らしながら夜警する人のこと。
金棒を引く(かなぼうをひく)
噂話などを大げさに触れ回ること。 「金棒」は、頭部に鉄輪を付けた棒のこと。昔、夜警などが棒を突き鳴らしながら歩いたことから。
叶わぬ時には親を出せ(かなわぬときにはおやをだせ)
言い訳に困った時には、親を引き合いに出すことで口実を作れということ。
叶わぬ時の神頼み(かなわぬときのかみだのみ)
普段は信仰心を持たない者が、事が叶わない時だけ、神様に祈って助けてもらおうとすること。
蟹は甲羅に似せて穴を掘る(かにはこうらににせてあなをほる)
人はそれぞれ自分の身分や力量に応じた考え方や行動をするというたとえ。蟹は自分の大きさに合わせて穴を掘るということから。
蟹を縦に歩かせることはできない(かにをたてにあるかせることはできない)
横に歩く蟹を縦に歩かせるのは無理なように、生まれつきの性格は変えられないということ。
金請けするとも人請けするな(かねうけするともひとうけするな)
借金の保証人になっても、身元保証人にはなるなということ。人の保証人になると厄介なことが多いことをいう。
金があれば馬鹿も旦那(かねがあればばかもだんな)
金さえ持っていれば、馬鹿でも旦那と持ち上げられるということ。人柄や経歴に関係なく、金の力が威光のもとだということ。
金が言わせる旦那(かねがいわせるだんな)
旦那、旦那と世間からもてはやされるのは、金の力によるものであるということ。
金が唸る(かねがうなる)
あり余るほど金銭があるさま。 「唸る」は、ため込んでいるものが溢れでそうになること。
金と塵は積もるほど汚い(かねとちりはつもるほどきたない)
金持ちになればなるほど、欲深くけちになることをあざけっていうことば。
金なき者は金を使う(かねなきものはかねをつかう)
金持ちは金に執着して金を惜しむが、金のない者は、かえって執着しないで浪費するものだということ。
金のなる木(かねのなるき)
いくら使っても無くならない財源のたとえ。
金の光は七光(かねのひかりはななひかり)
金持ちの威光が広く及ぶようす。「七光り」は親などの威光で利益を受けること。
金は良き召し使いなれど悪しき主なり(かねはよきめしつかいなれどあしきしゅなり)
金は自分の意思で運用しているうちはよいが、金に使われるようになると害をもたらすという戒め。
金離れがいい(かねばなれがいい)
必要な時には惜しまずに金を出すさま。
金持ちと灰吹きは溜まるほど汚い(かねもちとはいふきはたまるほどきたない)
金持ちは、財産を増やそうとしたり、減らすまいとしてけちになり、心が卑しくなるというたとえ。「灰吹き」はたばこの吸い殻を入れる竹筒のことで、吸い殻が溜まることと金が貯まることをかけている。
金を貸せば友を失う(かねをかせばともをうしなう)
金の貸し借りには問題が起こりやすく、親しい友人同士でも金の貸し借りはするべきではないという戒め。
蚊の鳴くような声(かのなくようなこえ)
蚊の羽音のように、とても小さくて弱々しい声のこと。
蚊の涙(かのなみだ)
きわめて量の少ないことのたとえ。 蚊が流す涙ほどである意。
禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)
わざわいと幸福は、より合わせた縄のように表裏一体を成しているということ。「糾う」とは縄をより合わせること。
蕪は鶉となり、山芋は鰻となる(かぶらはうずらとなり、やまいもはうなぎとなる)
起こるはずのないことが時には起こることのたとえ。また、身分の低い人が急に出世したり金持ちになることのたとえ。 いくら形が似ていても、蕪(かぶら)が鶉(うずら)になったり山芋が鰻になったりすることなどありえないが、それが起こるとの意から。 「山の芋鰻になる」ともいう。
壁の穴は壁で塞げ(かべのあなはかべでふさげ)
何事も一時しのぎではうまくいかないというたとえ。壁にあいた穴は同じ壁土で塞ぐべきで、手近なありあわせの物を使っても間に合わせにすぎないということから。
南瓜に目鼻(かぼちゃにめはな)
丸顔で背が低く太っている人の形容。不器量な顔の形容。
神ならぬ身(かみならぬみ)
全知全能の神ではない我が身。人間の能力には限界があるということ。
雷が落ちる(かみなりがおちる)
目上の人からひどく叱られること。
神も仏もない(かみもほとけもない)
困難な状況から救ってくれる神様も仏様もいないと嘆いていう言葉。
可もなく不可もなし(かもなくふかもなし)
特によくもなく、悪くもないこと。普通であること。
空馬に怪我なし(からうまにけがなし)
無一物の人は損のしようがないというたとえ。 「空馬」は、人や荷物などなにも乗せていない馬。
烏の頭の白くなるまで(からすのあたまのしろくなるまで)
いつまで経ってもその時がこないことのたとえ。中国、戦国時代に燕の太子丹が人質になった時、奏王が「烏の頭が白くなり、馬に角が生えたら国へ帰す」と言ったという故事から。
烏の鳴かない日はあっても(からすのなかないひはあっても)
それだけは必ず毎日行われるということを強調していう語。 毎日必ず鳴く烏が鳴かない日があったとしてもの意。
狩人、罠にかかる(かりゅうど、わなにかかる)
人をおとし入れようとして仕組んだ悪だくみで、自分がひどいめにあうことのたとえ。獲物を獲ろうとして仕掛けた罠に猟師自身がかかるということから。
借りる時の地蔵顔、済す時の閻魔顔(かりるときのじぞうがお、なすときのえんまがお)
お金を借りる時は地蔵菩薩のようにやさしい顔をするが、返す時は閻魔大王のような不機嫌な顔をするということ。
借りる八合、済す一升(かりるはちごう、なすいっしょう)
人に物やお金を借りたら、少し多めに返すか、お礼を添えて返すのが常識であるということ。 「済す」は、返済すること。 八合借りたら、一升にして返すべきであるとの意から。
彼も人なり、我も人なり(かれもひとなり、われもひとなり)
彼も自分と同じ人間なのだから、彼にできることが自分にできないはずはないということ。 努力を怠らなければ、他人にできることは何でもできるということ。
川中には立てど人中には立たれず(かわなかにはたてどひとなかにはたたれず)
世渡りは難しいというたとえ。 流れが急な川の中に立つことはできても、世間に流されずに生きることは難しいとの意から。
閑古鳥が鳴く(かんこどりがなく)
人が集まらずものさびしい様子。特に商売などがはやらずさびれていることをいう。「閑古鳥」はかっこうの別名で、その鳴き声がさびしげに聞こえることから。
間然するところなし(かんぜんするところなし)
非難すべき欠点がまったくないこと。 「間然」は、非難・批判すること。
缶詰になる(かんづめになる)
一定の場所に閉じ込めらること。また、その状態で仕事をさせられること。
艱難、汝を玉にす(かんなん、なんじをたまにす)
人間は多くの苦労を経験することのよって立派な人物になれるということ。「艱難」は難儀・苦難、「玉にす」は美しくする・立派にするという意。
感に堪えない(かんにたえない)
非常に深い感動を覚えて、その感情を隠すことができないさま。 古くは「感に堪える」ともいい表した。
看板に偽りなし(かんばんにいつわりなし)
外見と中身が一致していること。また、言動に行動が伴っていることのたとえ。看板に掲げているものと、実際に売っているものが同じということから。
完膚無きまで(かんぷなきまで)
徹底的に打ちのめすさま。 「完膚」は無傷の皮膚。
咳唾、珠を成す(がいだ、たまをなす)
詩文の才能が優れていることのたとえ。 「咳唾」は咳と唾。または、他人の言葉を敬っていう語。 何気なく口から出た言葉でさえ、珠玉のように美しい名句になっているとの意から。
餓鬼の花争い(がきのはなあらそい)
貧しい者が生活に関係ない趣味に熱中するたとえ。「餓鬼」は餓鬼道におち飢えと渇きに苦しんでいる亡者。餓鬼が食べられない花のことで争うことから。
学者の取った天下なし(がくしゃのとったてんかなし)
学者は学問の上で政治を論ずるが、実際は理屈どおりにはいかず、学者に現実の国家を治める能力はないということ。
学問に王道なし(がくもんにおうどうなし)
学問というものは、積み重ねて学んでいかなければならないもので、簡単に身につける安易な方法はないということ。 「王道」は、王様のための特別な道、転じて近道や安易な道のこと。 エジプト王が数学者のユークリッドに幾何学を簡単に学ぶ方法を尋ねたとき、ユークリッドは「幾何学に王道なし」と答えたという故事から。
柄にもない(がらにもない)
その人の性格や能力、地位などに似つかわしくない言動をするさま。
雁首を並べる(がんくびをならべる)
その場に関係者が集まる様子。 「雁首」は人の首や頭の俗称。
顔色なし(がんしょくなし)
恐れや驚きのために、顔色が真っ青になること。また、完全に圧倒されてどうにもならないようす。
眼中に無い(がんちゅうにない)
まったく気にしない。関心がない。 「眼中」は目に見える範囲のこと。転じて、意識や関心の届く範囲。
眼中人なし(がんちゅうひとなし)
他人のことは考えず、思うままに振る舞うこと。人を人とも思わないこと。
聞かぬ事は後学にならず(きかぬことはこうがくにならず)
どんなことでも聞いておかなければ将来のための教養にならないということ。
気が置けない(きがおけない)
気兼ねや遠慮の必要がなく親しく付き合えるようす。