「さ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「さ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 868 件
掌を指す(たなごころをさす)
てのひらにあるものを指して説明するように、物事がきわめて明白であることのたとえ。
他人の正目(たにんのまさめ)
利害関係のない他人の見方は、公平で正しいというたとえ。「正目」は縦にまっすぐに筋の通った木目のこと。
狸が人に化かされる(たぬきがひとにばかされる)
相手を甘く見て油断したために、だまそうとした相手から逆にだまされることのたとえ。 人をだますと言われている狸が、人からだまされてしまうことから。
他の追随を許さない(たのついずいをゆるさない)
ある事柄について他の誰も真似できないほど、大きく抜きん出ているさま。
旅は道連れ、世は情け(たびはみちづれ、よはなさけ)
旅をする時は同行者がいれば心強く、同様に世の中を渡るにはお互い助け合っていくのが大切だということ。
玉の杯、底なきが如し(たまのさかずき、そこなきがごとし)
外見はすばらしいが、肝心なところに欠点があり、実際には約に立たないもののたとえ。 美しい杯も、底がなければ使い物にならないとの意から。
玉磨かざれば器を成さず(たまみがかざればきをなさず)
才能や素質に恵まれていても、努力しなければ立派な人間になることはできないというたとえ。 どれほどすばらしい玉でも、磨かなければ光を放たないとの意から。 「玉磨かざれば器を成さず」ともいう。
誑しが誑しに誑される(たらしがたらしにたらされる)
いつも人をだましている人が、だまそうとして反対に自分がだまされてしまうこと。「誑し」は、人をだます者のこと。
足らず余らず子三人(たらずあまらずこさんにん)
子どもは三人いるのが、多過ぎず少な過ぎずでちょうどいいということ。
単糸、線を成さず(たんし、せんをなさず)
人間はひとりでは何もできないというたとえ。 「単糸」は一本の紡績糸のこと。これを何本か撚(よ)り合わせて撚糸(ねんし)にするが、一本の紡績糸だけではそれができないとの意から。
大根を正宗で切る(だいこんをまさむねできる)
大げさなことをするたとえ。また、大人物につまらないことをさせることのたとえ。 「正宗」は鎌倉時代の名刀。 たかが大根を切るのに名刀である正宗を使うことから。
抱かさせば負ぶさる(だかさせばおぶさる)
他人の力を当てにして、つけあがって甘えることのたとえ。 負んぶしてやると次には抱っことねだることから。 「負ぶえば抱かろう」「負んぶすれば抱っこ」「抱かさせば負ぶさる」ともいう。
惰眠を貪る(だみんをむさぼる)
すべきことをせずに、無駄な日々を送ることのたとえ。 怠けて眠ってばかりいるとの意から。
断じて行えば鬼神も之を避く(だんじておこなえばきしんもこれをさく)
断固たる決意で物事を行えば、困難なことでも成し遂げることができるというたとえ。 断固とした態度で決行すれば、鬼神でさえその勢いに押されて避けていくとの意から。
男女七歳にして席を同じゅうせず(だんじょしちさいにしてせきをおなじゅうせず)
人は七歳にもなれば、男女の別を明らかにしてみだりに慣れ親しんではならないということ。男女は七歳になったら同じ敷物に座るべきではないという儒教の道徳から。
小さく生んで大きく育てる(ちいさくうんでおおきくそだてる)
子どもは小さい子を楽に生んで大きく育てるのが賢明だということ。事業なども小規模で始めてだんだん大きくしていくのがよいやり方だということ。
小さくとも針は呑まれぬ(ちいさくともはりはのまれぬ)
小さいからといって侮ってはいけないという戒め。 いくら小さくても針をのみこむことはできないことから。
小さくなる(ちいさくなる)
ひどくかしこまったり遠慮したりする。身を縮めてかしこまる。
知恵の持ち腐れ(ちえのもちくされ)
すぐれた知恵を持っていながら、有効に活用できないこと。また、有効に活用しないこと。
血が騒ぐ(ちがさわぐ)
興奮してじっとしていられなくなること。
畜生の浅ましさ(ちくしょうのあさましさ)
畜類の愚かなさま。転じて、人間の卑しさや醜さのこと。
忠言、耳に逆らう(ちゅうげん、みみにさからう)
忠告の言葉は耳が痛く、素直に聞き入れられにくいということ。
籌策を帷幄の中に運らし、勝ちを千里の外に決す(ちゅうさくをいあくのなかにめぐらし、かちをせんりのほかにけっす)
計画や戦略の巧妙なことのたとえ。 「籌」は計略、「帷幄」は幕を張りめぐらした本陣、「千里の外」は遠い場所のこと。 本陣で計略を練り、遠く離れた戦場で勝利するとの意から。 「籌策を帷幄の中に運らし、勝ちを千里の外に決す」ともいう。
提灯持ちは先に立て(ちょうちんもちはさきにたて)
指導的立場にある人は、先頭に立って模範を示すべきであるということ。 提灯を持って先導する人が先頭に立たずに後ろを歩いていても役に立たないとの意から。
月に雨笠日笠なし(つきにあまがさひがさなし)
月にかさがかかれば必ず雨が降り、晴れの時は月にかさはかからないということ。
月を指せば指を認む(つきをさせばゆびをみとむ)
物事を説明しても、その文字や言葉にこだわって本質を理解しないということ。 月の説明をするために月を指さしても、月を見ずに指している指を見るとの意から。
釣った魚に餌はやらぬ(つったさかなにえさはやらぬ)
親しい間柄になったあとは、相手の機嫌をとる必要はないということ。多く男女の仲についていう。
常に来る客は歓迎されず(つねにくるきゃくはかんげいされず)
たまに来る人は歓迎されるが、いつも来る人は客として喜ばれないという戒め。
爪の先まで似る(つめのさきまでにる)
細かいところまでよく似ていることのたとえ。
詰め腹を切らされる(つめばらをきらされる)
責任を取ることを強いられて、辞職させられたり減俸されたりすること。 「詰め腹」は強制的に切腹させられること。
亭主三杯客一杯(ていしゅさんばいきゃくいっぱい)
客をもてなすために、主人が客よりたくさん酒をのむこと。また、客をだしにして主人がふだんより多く酒を飲むことにもいう。
手が塞がる(てがふさがる)
やりかけている事があって、他の事をする余裕がないこと。 「手が塞がる」ともいう。
敵もさる者引っ搔くもの(てきもさるものひっかくもの)
相手の強さや実力などを認めるときに使う言葉。 「さる者(然る者)」は、なかなかの人物という意味。 さる者の「さる」に引っ掻く猿(さる)をかけた言葉。 単に「敵もさる者」ともいう。
鉄桶水を漏らさず(てっとうみずをもらさず)
その場の防衛や人の団結などがしっかりとしていて、付け入る隙が少しもないこと。 鉄の桶からは少しの水も漏れないということから。
手鍋提げても(てなべさげても)
好きな男と夫婦になれるなら、どんな苦労もいとわないということ。
寺から里へ(てらからさとへ)
物事があべこべなことのたとえ。筋違いなことのたとえ。「里」は、檀家の意。檀家から寺へ供物を届けるのが当たり前なのに、寺から檀家へ物を贈るのは逆であることから。
手を差し伸べる(てをさしのべる)
困っている人を進んで助けること。
手を濡らさず(てをぬらさず)
自分で苦労せずに成果を得ようとする様子。
天下の憂いに先立ちて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ(てんかのうれいにさきだちてうれい、てんかのたのしみにおくれてたのしむ)
すぐれた政治家や指導者は、人々よりも先に国のことを心配し、人々が楽しんだ後で自身も楽しむべきだということ。 「[[先憂後楽*https://yoji.jitenon.jp/yojid/1517.html]]」ともいう。
天災は忘れた頃にやってくる(てんさいはわすれたころにやってくる)
災害は人々がその恐ろしさを忘れた頃にまた襲ってくるものであるということ。 油断は禁物で用心を怠ってはいけないという戒めの言葉。 物理学者・随筆家の寺田寅彦の言葉。 「災害は忘れた頃にやってくる」ともいう。
転石苔むさず(てんせきこけむさず)
活発に行動をしている人は常に健康で生き生きしていられることのたとえ。また、転職や転居を繰り返す人は地位も得られず金も貯まらないことのたとえ。 「転石苔を生せず」「転石苔むさず」ともいう。
天道様と米の飯はどこへも付いて回る(てんとうさまとこめのめしはどこへもついてまわる)
どんな所にも太陽が当たるように、どこへ行っても暮らしていけるということ。
天道、人を殺さず(てんどう、ひとをころさず)
天は人を見捨てるような無慈悲なことはしないということ。
天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)
悪事を犯した者は必ず天罰を受けるということ。 「恢恢」は広大なこと。「疎」は粗いこと。 天の網は広く、目が粗いように見えるが、絶対に網の目から漏らすことはないとの意から。
十で神童、十五で才子、二十過ぎれば只の人(とおでしんどう、じゅうごでさいし、はたちすぎればただのひと)
子どものころは並外れた秀才と思われていた人も、成長すれば平凡な人間になることが多いということ。
遠目、山越し、笠の内(とおめ、やまごし、かさのうち)
遠くから見るとき、山越しに見るとき、また、笠に隠れた顔の一部をちらりと見る時は、はっきりと見えないので、実際以上に美しく感じられるということ。
とかく浮世は色と酒(とかくうきよはいろとさけ)
なんといってもこの世の楽しみは、色恋と酒であるということ。
時を移さず(ときをうつさず)
ある物事の後に時間を空けずに行う様子。すぐに。
所の神様ありがたからず(ところのかみさまありがたからず)
自分の身近にあり、よく知っているものは、そのありがたみが薄いというたとえ。
鶏冠に来る(とさかにくる)
怒りで冷静さを失うこと。
止めを刺す(とどめをさす)
二度と立ち上がれなくなるほどの決定的な打撃を与えること。息の根をとめる。 または、後から問題にならないように急所を押さえておくこと。 また、同じ種類のものの中でもっともすぐれていること。それに限る。
図南の翼(となんのつばさ)
大事業や海外進出などの大きな計画を立てること。 「図」は、企てること。 想像上の巨鳥、鵬(おおとり)が遠い南の地に向かって飛び立とうと翼を広げるとの意から。 「図南の鵬翼」ともいう。
鳶に油揚げを攫われる(とびにあぶらあげをさらわれる)
大事な物を不意に横から奪い取られることのたとえ。 空を飛んでいる鳶がさっと舞い降りて、すばやく油揚げを奪っていくということから。 「とび」は「とんび」とも読む。
友と酒は古いほどいい(ともとさけはふるいほどいい)
友人は長い間付き合って気心の知れた人間がいいし、酒も長くねかせた古い酒がおいしいということ。
虎に翼(とらにつばさ)
勢力のあるものに、さらに力強いものが加わることのたとえ。 強い虎に翼をつけることから。
鳥なき里の蝙蝠(とりなきさとのこうもり)
強い者や優れた者がいないところで、つまらない者が威張っていることのたとえ。 鳥がいない所では、蝙蝠が幅をきかせて鳥のように飛び回るということから。
鳥の将に死なんとする、その鳴くや哀し(とりのまさにしなんとする、そのなくやかなし)
鳥の死に際の鳴き声は人の心を打つほど悲痛に響くということ。このあとに「人の将に死なんとするその言や善し」と続き、人が死に際にいう言葉には真実が込められているという意で使われる。
取りも直さず(とりもなおさず)
前に述べた事柄が次に述べる事柄にそのまま当てはまること。すなわち。
毒を食らわば皿まで(どくをくらわばさらまで)
一度悪事に手を染めた以上、後戻りはできないので、徹底的に悪に徹しようとすることのたとえ。 どうせ毒を食べてしまったのならば、その皿までなめてしまおうとの意から。
どこの烏も黒さは変わらぬ(どこのからすもくろさはかわらぬ)
どこに行っても、そう目新しいものはないということ。また、どこの国でも人間の本性同じだということ。 「どこの烏も黒い」「どこの鶏も裸足」ともいう。
どさくさに紛れる(どさくさにまぎれる)
混乱や混雑などの状況を利用して勝手なことをすること。
どの面下げて(どのつらさげて)
恥知らずで厚かましい態度を罵っていう言葉。
泥棒の逆恨み(どろぼうのさかうらみ)
自分の悪いところは棚に上げて、相手を非難することのたとえ。 泥棒が自分の悪事は棚に上げて、捕まえた人や被害者を恨むとの意から。
仲立ちより逆立ち(なかだちよりさかだち)
他人の間に立って仲介をすることは非常に気苦労が多く、時には骨が折れる作業であるため、むしろ逆立ちでもしていた方が楽だということ。
仲を裂く(なかをさく)
親しい者同士や愛し合う者同士を無理に引きはなすこと。
長居する鷺蟇目に遭う(ながいするさぎひきめにあう)
長く同じ場所に留まっている鷺は、目立つために人間に狙われ、蟇目の矢(矢の一種である鏑矢)で射られる。 長居は慎むべきであるという戒め。 「長居する鷺汁になる」ともいう。
長崎ばってん、江戸べらぼう、神戸兵庫のなんぞいや、ついでに丹波のいも訛(ながさきばってん、えどべらぼう、こうべひょうごのなんぞいや、ついでにたんばのいもなまり)
各地の方言の特徴をとらえて語調よくいったことば。
流れに棹さす(ながれにさおさす)
時流に乗って、物事が順調に進むことのたとえ。 棹を水底にさすことで、うまく水の流れに乗って舟を進めるとの意から。 「時流に逆らう」との意で用いることは本来誤用。
流れる水は腐らず(ながれるみずはくさらず)
常に動いているものは、停滞することがないということ。
泣きっ面を蜂が刺す(なきっつらをはちがさす)
悪い事が重なって起こることのたとえ。 泣いている顔を、さらに蜂が刺すということから。 「泣き面に蜂」「泣きっ面を蜂が刺す」ともいう。
情けが仇(なさけがあだ)
親切や同情からしたことが、かえって相手のためにならない結果となること。
情けに刃向かう刃なし(なさけにはむかうやいばなし)
情けをかけてくれた人に、誰も刃向かうことは出来ないということ。
情けの酒より酒屋の酒(なさけのさけよりさかやのさけ)
口先だけの同情よりも、実際に役立つ援助や品物のほうが助かるということ。 「情け」の「さけ」に、酒屋の「酒(さけ)」を掛けた語呂合わせ。
情けは質に置かれず(なさけはしちにおかれず)
情けをかけてもらっても、気持ちだけでは何の足しにもならないということ。 情けは質に入れて換金できないので、実際の生活の役には立たないとの意から。
情けは上下によるべからず(なさけはじょうげによるべからず)
身分や貧富、地位に関わらず、誰に対しても平等に情けをかけるべきだという教え。 また、男女の愛情についても、地位や身分の違いに左右されるべきではないとの意味でも用いる。 人間関係において分け隔てなく接することの大切さを説いた言葉。
情けは人の為ならず(なさけはひとのためならず)
他人に親切にすれば、巡り巡って自分に返ってくるということ。
情け容赦もなく(なさけようしゃもなく)
相手に対して遠慮や手加減をすることなく、物事を進める様子。
情けを掛ける(なさけをかける)
相手に対して哀れみの気持ちをもって、親切に対応すること。
情けを知る(なさけをしる)
人情とは何かを理解していることのたとえ。
生さぬ仲(なさぬなか)
血の繋がっていない親子の間柄。 「生す」は産むという意味。