「お」を含む故事・ことわざ・慣用句
「お」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1144 件
愛多ければ憎しみ至る(あいおおければにくしみいたる)
特別に可愛がられることが多ければ、それを妬み憎む者が必ずいるということ。
愛想づかしも金から起きる(あいそづかしもかねからおきる)
女が男につれなくなり愛想をつかすようになるのは、金銭上の問題からだということ。
愛は惜しみなく与う(あいはおしみなくあたう)
誰かを愛する時は、自分の持つすべてを与えても惜しくないということ。
愛は惜しみなく奪う(あいはおしみなくうばう)
誰かを愛する時は、その相手の持つすべてを自分のものにしようと求めるということ。
愛は憎悪の始め(あいはぞうおのはじめ)
愛と憎しみは紙一重であり、一歩間違えると愛情は憎悪に変わることがある。愛情を抱く際には、節度やバランスを保つことが大切だということ。 「愛は憎しみの始めなり」ともいう。
相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ(あいぼれうぬぼれかたぼれおかぼれ)
両思いの相惚れ、ひとりよがりの自惚れ、片思いの片惚れ、ひそかに恋い慕う岡惚れ、と恋愛の言葉を並べたもの。
仰いで天に愧じず(あおいでてんにはじず)
天を仰ぎ見ても恥ずかしくないほど、心も行いも何らやましいことがないこと。
青い鳥(あおいとり)
身近にあって気づかない幸福のたとえ。チルチルとミチルの兄妹が、幸せを招くという青い鳥を探して旅に出るが、実は青い鳥は自分の家の鳥かごにいたというメーテルリンク作の童話劇「青い鳥」から。
青柿が熟柿弔う(あおがきがじゅくしとむらう)
人間はいつか必ず死ぬのだから、弔う者も弔われる者も大差ないというたとえ。まだ青い柿が、熟して地面に落ちた柿を弔うが、青柿もやがては熟柿になることから。
青くなる(あおくなる)
恐れや焦り、不安などのため、血の気がなくなり顔が青白くなる。
青写真を描く(あおじゃしんをえがく)
将来の計画を具体的に考える。未来の姿を想像する。 「青写真」は、設計図の複写に用いられたことから、設計図のこと。
青筋を立てる(あおすじをたてる)
激しく怒ること。 こめかみに青く血管を浮き上がらせるほど怒ったり興奮することから。
青田買い(あおたがい)
企業が才能のある人材を得るために、卒業までにまだ間がある学生に対して早々に採用の内定を出すこと。
青菜に塩(あおなにしお)
元気をなくしてうなだれている様子のたとえ。青菜に塩をかけると水分がなくなって萎れるということから。
青菜は男に見せな(あおなはおとこにみせな)
青菜は、茹でたり炒めたりすると量が大幅に減るが、料理を知らない男性にとっては、その変化が理解しにくい。 調理後の量を見て「あんなにたくさんあったのに、どこへ行ったのだ」と不審に思われることがある。 転じて、無用な誤解や疑惑を避けるために、疑われる可能性のある行動は最初から控えるべきだということ。
青二才(あおにさい)
若く、未熟な男子。また、そのような人を罵って言ったり、自身を謙遜して言う言葉。「青」は未熟の意、「二才」は出世魚のボラの稚魚のことで、まだ若いボラということから。
青は藍より出でて藍より青し(あおはあいよりいでてあいよりあおし)
弟子が師より優れていることのたとえ。 藍草から作られた染料の青色が、元となる藍草よりも青く美しいことから。 「出藍の誉れ」ともいう。
青葉は目の薬(あおばはめのくすり)
青葉のみずみずしい緑色を見ると目の疲れが癒されるということ。
青表紙を叩いた者にはかなわぬ(あおびょうしをたたいたものにはかなわぬ)
きちんと学問に励んだ者にはかなわないというたとえ。「青表紙」は青い表紙を多く用いた四書五経などの経書のこと。
煽りを食う(あおりをくう)
周囲の状況の急激な変化により、思いがけない影響や災難を受ける。
明るけりゃ月夜だと思う(あかるけりゃつきよだとおもう)
考え方が単純で現実を知らないことのたとえ。外が明るいとすべて月夜だと思う意から。
空樽は音が高い(あきだるはおとがたかい)
中身のない人間ほど得意そうにしゃべりたてるというたとえ。空の樽は叩くと高い音が出ることから。
秋の雨が降れば猫の顔が三尺になる(あきのあめがふればねこのかおがさんじゃくになる)
秋は晴れた日より雨の日の方が暖かいので、猫も顔を長くし喜ぶということ。
秋の入り日と年寄りはだんだん落ち目が早くなる(あきのいりひととしよりはだんだんおちめがはやくなる)
年々衰える年寄りの健康状態を、急速に暮れていく秋の夕日にたとえたことば。
秋の扇(あきのおうぎ)
男性の愛を失った女性のたとえ。夏に重宝された扇も秋には必要なくなることから。 中国漢の成帝の寵愛を失った班倢伃(はんしょうよ)という女性が自身を秋の扇に例えた詩「怨歌行」を詠んだという故事から。
秋の日は釣瓶落とし(あきのひはつるべおとし)
秋の日が急速に暮れていくようす。秋の日が、井戸の中へ釣瓶が垂直に速く落ちるように暮れていく意から。
呆れがお礼(あきれがおれい)
ひどく呆れることを誇張していうことば。 「呆れがお礼」ともいう。
商人の嘘は神もお許し(あきんどのうそはかみもおゆるし)
商人が商売上の駆け引きで嘘をつくのは、神様もやむを得ないとお許しになるということ。
商人の子は算盤の音で目を覚ます(あきんどのこはそろばんのおとでめをさます)
人の習性は、育つ環境の影響を大きく受けるということ。 商人の子どもは金勘定に敏感で、眠っていても算盤の音で起きるという意味から。
悪獣もなおその類を思う(あくじゅうもなおそのるいをおもう)
猛獣でさえ仲間を思いやる気持ちを持っている。まして人間ならなおさらその気持ちがあるはず、という意。「悪獣」は猛獣のこと。
アクセントを置く(あくせんとをおく)
全体の中で、特にその部分に重点をおく。目立たせる。強調する。
悪の温床(あくのおんしょう)
悪事や、良くない思想が生まれやすい環境。
上げ潮に乗る(あげしおにのる)
機運が良く、物事が順調に進むこと。進展すること。
顎が落ちる(あごがおちる)
食べ物が非常においしいことのたとえ。
顎で蠅を追う(あごではえをおう)
やせ衰えて元気がないようす。蠅を手で追い払う元気もなく顎を動かして追い払う意から。 「頤(おとがい)で蠅を追う」ともいう。 「頤」は顎のこと。
朝雨馬に鞍置け(あさあめうまにくらおけ)
朝に降る雨はすぐに止むから、馬に鞍を置いて外出する用意をせよ、ということ。
朝雨と女の腕捲り(あさあめとおんなのうでまくり)
朝の雨はすぐにやむため、女が腕まくりをして強がるのと同様、恐れるに足りないということ。 「俄雨(にわかあめ)と女の腕捲り」ともいう。
朝起き千両、夜起き百両(あさおきせんりょう、よおきひゃくりょう)
朝早く起きて仕事をするほうが、夜働くより能率が上がり得だということ。 「朝起き千両」ともいう。
朝起きは三文の徳(あさおきはさんもんのとく)
朝早く起きるとなにかしらいい事があるということ。「徳」は「得」と同じ。
朝起きは七つの徳(あさおきはななつのとく)
朝早く起きるとなにかしらいい事があるということ。「徳」は「得」と同じ。
朝顔の花一時(あさがおのはないっとき)
物事の盛りが短く、はかないことのたとえ。朝咲いた朝顔の花が昼を待たずにしぼんでしまうことから。
朝飯前のお茶漬け(あさめしまえのおちゃづけ)
ものごとが容易にできることのたとえ。 朝飯前の空腹時に食べるお茶漬けは、さらさらと簡単に食べられるということから。
足が重い(あしがおもい)
行かなければいけないと思いながらも、気がすすまずに行く気にならないようす。
足が遠のく(あしがとおのく)
今までよく行っていた場所へ、訪れる機会が少なくなる。疎遠になる。
足下にも及ばない(あしもとにもおよばない)
相手の実力があまりにもすぐれていて、自分とは比べものにならないこと。
明日ありと思う心の仇桜(あすありとおもうこころのあだざくら)
いつ何が起こるかわからない、人生や世の中の無常をいった言葉。 桜の花が、明日も咲いているだろうと安心していると、夜中の嵐で散ってしまうかもしれないとの意から。 「夜半に嵐の吹かぬものかは」という句がこれに続く。
明日食う塩辛に今日から水を飲む(あすくうしおからにきょうからみずをのむ)
手回しがいいように見えて、実は無意味なことのたとえ。
明日の事を言えば鬼が笑う(あすのことをいえばおにがわらう)
先のことはわからない。未来のことは予測できないというたとえ。
東男に京女(あずまおとこにきょうおんな)
男はたくましくて粋な江戸の男、女はしとやかで優しい京の女がいいということ。
畦から行くも田から行くも同じ(あぜからいくもたからいくもおなじ)
手段や方法が違っても、同じ結果になることのたとえ。 畦道から行っても田から行っても、結局行き着く所は同じということから。 「田から行くも畦から行くも同じ事」「田を行くも畦を行くも同じ」「田歩くも畔歩くも同じ」などともいう。異形の多い語。
頭押さえりゃ尻上がる(あたまおさえりゃしりあがる)
両方うまくはいかないということ。頭を押さえれば尻が持ち上げるように、一方がうまくいけば、もう片方がうまくいかなくなるということから。
頭が動けば尾も動く(あたまがうごけばおもうごく)
上に立つ者が行動すれば、下の者は自然と従うということ。 動物の頭と尾は一体で、頭が動けば当然尾も動くという意味から。
頭の上の蠅も追われぬ(あたまのうえのはえもおわれぬ)
自分自身のことさえ満足に出来ないことのたとえ。 自分の頭にたかる蠅さえ追い払えないという意味から。
頭の上の蠅を追え(あたまのうえのはえをおえ)
他人のことをとやかく言ったり世話を焼いたりする前に、まずは自分自身のことを始末しなさい、という教え。
中らずと雖も遠からず(あたらずといえどもとおからず)
ぴったり当たっていないが、ほぼ的中と言えるということ。 「中らず」は「当たらず」とも書く。
あだや疎か(あだやおろそか)
いい加減に扱うさま。軽々しく考えるさま。 後に否定の語を伴って用いる。
仇を恩で報ずる(あだをおんでほうずる)
憎むべき相手を憎まずに、かえってその人に情けをかけること。
後押しをする(あとおしをする)
物事が順調に進むように、わきから援助すること。
跡を追う(あとをおう)
追い掛ける。また、亡くなった人への思慕から自ら命を絶つこと。
脂に画き、氷に鏤む(あぶらにえがき、こおりにちりばむ)
努力や苦労が報われず、徒労に終わることのたとえ。 「鏤む」は彫刻すること。 脂に絵を描いても、氷に彫刻しても、残らず消えてしまうということから。 「氷に鏤め、脂に画く」「氷に鏤め、水に描く」ともいう。
油を以って油煙を落とす(あぶらをもってゆえんをおとす)
油を使って油煙を落とすように、同種のものをうまく利用して効果を上げることのたとえ。
網、呑舟の魚を漏らす(あみ、どんしゅうのうおをもらす)
法の規制が及ばず、大悪人を取り逃がしてしまうことのたとえ。 網の目が粗いために、舟を呑み込むほどの大魚を逃がしてしまうことから。
網にかかった魚(あみにかかったうお)
逃げようとしても逃げ出せないことのたとえ。
危うきこと虎の尾を踏むが如し(あやうきこととらのおをふむがごとし)
非常に危険なことをすることのたとえ。
蟻の思いも天に届く(ありのおもいもてんにとどく)
弱小な者でも懸命に努力すれば、希望を叶えることができるというたとえ。 蟻のように小さなものでも、一心に努力すれば願いは天に達するとの意から。 「蟻の思いも天に昇る」ともいう。
あるは厭なり思うは成らず(あるはいやなりおもうはならず)
ものごとが思うようにいかないこと。 自分を好きになってくれる相手は好きになれず、自分が思う相手はふりむいてくれないという意味から。
アルファでありオメガである(あるふぁでありおめがである)
最初であると同時に最後でもあるということ。 すべて。ぜんぶ。 アルファはギリシャ語の最初の文字で、オメガは最後の文字。
合わせる顔がない(あわせるかおがない)
相手の期待や信頼を裏切るようなことをして、申し訳なくてその人に会いにくいというたとえ。 「あわせる」は「あわす」ともいう。 また「合」は「会」とも書く。
鮑の片思い(あわびのかたおもい)
自分が慕っているだけで、相手にはその気がないこと。 片思いをしゃれていう言葉。 鮑の貝殻が二枚貝の片側だけのように見えることから。 「磯の鮑の片思い」「鮑の貝の片思い」ともいう。
安に居て危を思う(あんにいてきをおもう)
平和の時でも、常に災難・危機に対する備えを忘れないようにすること。
いい顔をしない(いいかおをしない)
好意的な態度を示さない。不機嫌な様子である。
異域の鬼となる(いいきのおにとなる)
外国で死ぬこと。「異域」は外国、「鬼」はは死者の意。
言うと行うとは別問題である(いうとおこなうとはべつもんだいである)
口で言うことと、それを実行することとは別で、言葉通りに実践するのは難しいということ。
言うに及ばず(いうにおよばず)
わざわざ言う必要がない。言うまでもない。
言うは易く行うは難し(いうはやすくおこなうはかたし)
口で言うのは簡単だが、言ったことを実行するのは難しいということ。
言うまいと思えど今朝の寒さかな(いうまいとおもえどけさのさむさかな)
どうしようもない寒さだと分かりつつも、今朝の寒さに耐えられず、思わず「寒い」と言葉に出してしまった気持ちを詠んだもの。
言うも愚か(いうもおろか)
当然のことで、わざわざ言う必要もないこと。
家貧しくして良妻を思う(いえまずしくしてりょうさいをおもう)
貧乏をすると、この境遇を一緒に乗り越えてくれる良い妻が欲しいと、つくつぐ思うということ。
怒りは敵と思え(いかりはてきとおもえ)
怒りは慎むべきであるという戒めの言葉。 怒りの感情を持てば、相手からの怒りや憎しみを招くことになり、結局自分の身を滅ぼすことになるということ。 徳川家康の遺訓のひとつ。
怒れる拳、笑顔に当たらず(いかれるこぶし、えがおにあたらず)
怒って強い態度で向かってきた者に対しても、優しい態度で接するほうが効果的であるということ。怒って振り上げた拳も、相手の笑顔に気勢をそがれて打ち下ろせないとの意から。