「ず」を含む故事・ことわざ・慣用句
「ず」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 732 件
愛出ずる者は愛返り、福往く者は福来る(あいいずるものはあいかえり、ふくゆくものはふくきたる)
他人に愛情を注ぐ者には、その愛が巡り巡って自分に返り、他人に幸福を与える者には、やがて自らも幸福が訪れるということ。
相手変われど主変わらず(あいてかわれどぬしかわらず)
相手になる人は次々と変わっているのに、こちらは変わらず同じことを繰り返し続けること。 進歩や変化のみられない様子をいう言葉。 「相手変われど手前変わらず」ともいう。
相も変わらず(あいもかわらず)
いつもと変わらず。「相変わらず」を強調した言い方。
敢えて主とならず客となる(あえてしゅとならずきゃくとなる)
自分が中心にならずに受身でいるほうが無難だということ。
敢えて天下の先とならず(あえててんかのさきとならず)
積極的に人の先頭に立つことを避け、控えめな姿勢を保つことで、波風を立てずに安泰な生活を送ることができるという考え方。 先頭に立つと競争や妬みなど人間関係のトラブルに巻き込まれるリスクが高まるため、あえて目立たない立場に身を置くことが賢明だとされる。 出典では「故(ゆえ)に能(よ)く器長(きちょう)を成(な)す」と続き、控えめな態度を保つことで、かえって周囲の人々を上手に導く優れた指導者になれると述べられている。
仰いで天に愧じず(あおいでてんにはじず)
天を仰ぎ見ても恥ずかしくないほど、心も行いも何らやましいことがないこと。
商い上手の仕入れ下手(あきないじょうずのしいれべた)
客に物を売るのはうまいが、仕入れがへたで儲からないということ。
商いは数でこなせ(あきないはかずでこなせ)
商売のこつは薄利多売だということ。
商人に系図なし(あきんどにけいずなし)
商人には家柄など関係なく、商売の手腕や努力しだいで成功するということ。
悪銭身に付かず(あくせんみにつかず)
不当な手段で得た金は大切にしないから、とかくつまらないことに使ってしまい残らないものだということ。
顎が外れる(あごがはずれる)
あまりにおかしくて、口を大きく開けて大笑いすることのたとえ。
朝雨に傘いらず(あさあめにかさいらず)
朝の雨はすぐにやむということ。
朝に夕べを謀らず(あしたにゆうべをはからず)
事態が切迫していて、余裕がないことのたとえ。 朝にその日の夕方のことを考えるゆとりがないという意味から。
明日食う塩辛に今日から水を飲む(あすくうしおからにきょうからみずをのむ)
手回しがいいように見えて、実は無意味なことのたとえ。
与って力がある(あずかってちからがある)
あることの進展や実現に、大きな役割を果たすこと。貢献をすること。
預かり物は半分の主(あずかりものははんぶんのぬし)
人から預かった物は、半分は自分の物だと思ってもかまわないということ。 「預かり半分」「預かり半分の主」「預かり物は半分の主」「預かる物は半分の主」「拾い主は半分」「拾うた者は半分の主」などともいう。
梓に鏤める(あずさにちりばめる)
書物を出版すること。昔、木版印刷の版木に梓(あずさ)の木を使ったことから。
梓に上す(あずさにのぼす)
書物を出版すること。昔、木版印刷の版木に梓(あずさ)の木を使ったことから。 「梓」は「し」とも読む。
東男に京女(あずまおとこにきょうおんな)
男はたくましくて粋な江戸の男、女はしとやかで優しい京の女がいいということ。
汗水垂らす(あせみずたらす)
苦労をいとわず、一生懸命に働くさま。 水のように汗が垂れるほど働くことから。
汗水流す(あせみずながす)
一生懸命に働くさま。 水のように汗が流れるほど働くことから。
値を二つにせず(あたいをふたつにせず)
相手によって、値段を上げたり下げたりするような悪賢い商売はしないということ。
頭隠して尻隠さず(あたまかくしてしりかくさず)
悪事や欠点の一部を隠して、全部を隠したつもりでいる者をあざけっていう言葉。雉(きじ)が草むらに頭を突っ込み隠れたつもりでも、尾が見えていることから。
頭から水を浴びたよう(あたまからみずをあびたよう)
突然起こった恐ろしい出来事に、驚き恐れてぞっとすることのたとえ。
頭から水を掛けられたよう(あたまからみずをかけられたよう)
突然起こった恐ろしい出来事に、驚き恐れてぞっとすることのたとえ。
頭の黒い鼠(あたまのくろいねずみ)
物を盗む人のこと。家に住んでいて、物を盗む頭髪の黒い人間を、鼠になぞらえて言う言葉。
当たらず触らず(あたらずさわらず)
どちらとも衝突を起こさないように、どっちつかずの曖昧な態度を取って済ませるようす。
中らずと雖も遠からず(あたらずといえどもとおからず)
ぴったり当たっていないが、ほぼ的中と言えるということ。 「中らず」は「当たらず」とも書く。
辺り構わず(あたりかまわず)
周囲の状況や他人の迷惑などを気にしないで、自分の好きなように振る舞うようす。
仇を恩で報ずる(あだをおんでほうずる)
憎むべき相手を憎まずに、かえってその人に情けをかけること。
当てが外れる(あてがはずれる)
期待や予想とは異なった結果になること。
当て事と越中褌は向こうから外れる(あてごととえっちゅうふんどしはむこうからはずれる)
当てにしていた事は相手の都合で外れることが多いことのたとえ。 「当て事」は当てにしている事。 「向こう」は身体の前、また、相手のこと。 越中褌が身体の前から外れやすいのと同じように、当てにしていた事は向こうから外れることが多いということ。 「当て事は向こうから外れる」「当て事と畚褌は先から外れる」ともいう。
後先見ず(あとさきみず)
後のことをよく考えずに行動するようす。
虻蜂取らず(あぶはちとらず)
二つのものを同時に得ようとして、結局はどちらも取り逃がしてしまうことのたとえ。欲張りすぎて失敗することのたとえ。 虻と蜂を両方捕ろうとして、結局どちらにも逃げられてしまうことから。
雨垂れは三途の川(あまだれはさんずのかわ)
家から一歩出れば、どんな災難や危険が待ちかまえているかわからないということ。 軒下から落ちる雨だれを、あの世とこの世の堺である三途の川に見立てて、家から一歩出たら十分に注意せよとの戒めのことば。
網の目に風たまらず(あみのめにかぜたまらず)
無駄なこと、何の効果もないことのたとえ。網で風を防ごうとしても、風は網の目を通り過ぎていくことから。
雨塊を破らず、風枝を鳴らさず(あめつちくれをやぶらず、かぜえだをならさず)
世の中が大平であることのたとえ。周公が中国を統治していた頃は天下泰平で、雨は静かに降って土のかたまりを壊さず、風は木の枝も動かないように静かに吹いたという故事から。
嵐の前の静けさ(あらしのまえのしずけさ)
台風が来る前に一時的に風が止むように、事件や変事が起こる前の不気味な静けさのこと。
新たに沐する者は必ず冠を弾く(あらたにもくするものはかならずかんむりをはじく)
潔白な人ほど自分の身を汚すおそれのあるものを避けるということ。 「沐」は髪を洗うこと。 髪を洗ったばかりの人は、必ず冠のちりを払ってから頭にのせるとの意から。
蟻の穴から堤も崩れる(ありのあなからつつみもくずれる)
ちょっとした油断・不注意から大事が起こることのたとえ。 蟻の穴を見過ごしたために堤防が崩れることもあるとの意から。
あるは厭なり思うは成らず(あるはいやなりおもうはならず)
ものごとが思うようにいかないこと。 自分を好きになってくれる相手は好きになれず、自分が思う相手はふりむいてくれないという意味から。
暗影を投ずる(あんえいをとうずる)
これからの成り行きに対する不安を投げかけること。 「暗影」は暗い影。転じて不安や不吉の兆し。
案ずるより産むが易し(あんずるよりうむがやすし)
あれこれ心配するより、物事は実際にやってみると意外とたやすく出来るということのたとえ。出産の前はいろいろ心配するものだが、終わってみると心配したほどではなかったということから。
威あって猛からず(いあってたけからず)
威厳があり、しかも温厚で荒々しくないようす。孔子の人柄を弟子が評したことばで、君子の理想的な人柄をいうことば。
謂う勿れ、今日学ばずして来日ありと(いうなかれ、こんにちまなばずしてらいじつありと)
明日があるからといって、今日学ぶべきことを後回しにしてはいけない。学びはその時その時で真剣に取り組むべきであるということ。 朱熹が若者に対して学問に励む心構えを説いたもの。 さらにこの後に「謂う勿れ、今年学ばずして来年ありと」と続く。 「謂う」は「言う」とも書く。
言うに及ばず(いうにおよばず)
わざわざ言う必要がない。言うまでもない。
家に鼠、国に盗人(いえにねずみ、くににぬすびと)
規模の違いはあるが、どんな所にも悪いことをする者がいるということ。
家貧しくして孝子顕る(いえまずしくしてこうしあらわる)
貧乏な家庭では、子どもも親を助けるために働いたりするので、その孝行ぶりが目立って人に知られるようになるということ。 逆境のときに、それを助けるものが現れること。
家貧しくして良妻を思う(いえまずしくしてりょうさいをおもう)
貧乏をすると、この境遇を一緒に乗り越えてくれる良い妻が欲しいと、つくつぐ思うということ。
家を道端に作れば三年成らず(いえをみちばたにつくればさんねんならず)
他人の助言をいちいち聞いていると、何事もやり遂げることが出来ないというたとえ。 道に面した場所に家を建てようとすると、口出しをする人が多くてなかなか出来上がらないとの意から。
怒りを遷さず(いかりをうつさず)
腹が立つことがあっても、他人に当り散らしてはいけないということ。
怒れる拳、笑顔に当たらず(いかれるこぶし、えがおにあたらず)
怒って強い態度で向かってきた者に対しても、優しい態度で接するほうが効果的であるということ。怒って振り上げた拳も、相手の笑顔に気勢をそがれて打ち下ろせないとの意から。
息の臭きは主知らず(いきのくさきはぬししらず)
自分の欠点は自分では気づかないということ。 自分の息が臭いことは自分ではわからないことから。
息を弾ませる(いきをはずませる)
激しい運動や興奮のために、荒い息づかいをすること。
委細構わず(いさいかまわず)
どのような事情があろうとも。遠慮なく。 「委細」は、くわしい事情。
潔しとせず(いさぎよしとせず)
自分の信念に照らし合わせて、許すことが出来ない。
いざ知らず(いざしらず)
…についてはわからないが。…はともかく。
石が流れて木の葉が沈む(いしがながれてこのはがしずむ)
物事の道理が逆であることのたとえ。
礎を築く(いしずえをきずく)
物事の基礎となる大事なものを作り上げる。 「礎」は、もとは「石据え」で、家屋などの柱の下に据える土台石のこと。
石に布団は着せられず(いしにふとんはきせられず)
親が死んでからでは、したくても孝行はできないということ。 「石」は墓石のことで、墓石に布団を着せても何の役にも立たないことから。
医者が取るか坊主が取るか(いしゃがとるかぼうずがとるか)
生死の境にいるような重病人のこと。生きているうちは医者が金を取り、死んでしまえば僧侶が金を取るということから。また、所詮あの世に金は持っていけないと守銭奴を皮肉ることば。
医者寒からず儒者寒し(いしゃさむからずじゅしゃさむし)
医者はおおむね裕福で、学者はたいてい貧乏だということ。「儒者」は学者、「寒し」は貧しい意。
医者上手にかかり下手(いしゃじょうずにかかりべた)
物事はうまく行うためには相手を信用しなければならないというたとえ。 どんな名医でも、患者が信頼して従わなければ病気を治すことは出来ないとの意から。
医者よ自らを癒せ(いしゃよみずからをいやせ)
他人に立派なことを言う人は自分も立派でなければならにというたとえ。患者を治療する医者は自分自身も健康に注意せよという意。
居住まいを正す(いずまいをただす)
きちんと座り直す。座り方をあらためる。
いずれ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)
どちらもすぐれていて優劣をつけにくく、選択に迷うたとえ。菖蒲も杜若もよく似た美しい花で区別がむずかしいことから。
何れを見ても山家育ち(いずれをみてもやまがそだち)
大勢いる者のどれを見ても田舎育ちで、誰一人役に立ちそうにない。
急ぎの文は静かに書け(いそぎのふみはしずかにかけ)
急ぎの手紙ほど大事な用件が多く、あせって早く書こうとすると間違うことが多いので、落ち着いてゆっくり書いとほうがいいということ。
一議に及ばず(いちぎにおよばず)
わざわざ議論する必要もない。
一芸は道に通ずる(いちげいはみちにつうずる)
一芸を極めた人は、他のどんな分野においても人にぬきんでることができるということ。
一念、天に通ず(いちねん、てんにつうず)
成し遂げようとする強い信念があれば、その意志は天に通じ必ず成就するということ。
一脈相通ずる(いちみゃくあいつうずる)
ちょっと見ただけではかけ離れているように見えるものの間にも、何かしら共通点があるということ。
一も取らず二も取らず(いちもとらずにもとらず)
二つのものを同時に得ようとすると、結局どちらも手に入らなくなることのたとえ。
一文惜しみの百知らず(いちもんおしみのひゃくしらず)
目先の損得にとらわれて、あとで大損することに気づかない愚かさを嘲笑するたとえ。たった一文惜しんだために、あとで百文もの損失を招く意から。
一を識りて二を知らず(いちをしりてにをしらず)
知識が浅く応用力がないこと。一つのことだけ知って、それ以外のことには知識がない意から。
一糸纏わず(いっしまとわず)
衣類を何も身に付けていない。素っ裸である。
一糸乱れず(いっしみだれず)
整然としていて、少しの乱れもない。
一寸の光陰軽んずべからず(いっすんのこういんかろんずべからず)
ほんのわずかな時間でも無駄にしてはいけないということ。「光陰」は月日、時間の意。
一石を投ずる(いっせきをとうずる)
平穏なところに反響を呼ぶような問題を投げかけること。静かな水面に石を一つ投げると波紋が生じるところから。
一丁字を知らず(いっていじをしらず)
まったく字が読めないこと。 「一丁字」は一つの文字のこと。 「丁」は个(か)の誤用で、「个」は人やものなどを数える語。 「一丁字を知(識)らず」ともいう。