「ず」で終わる故事・ことわざ・慣用句
「ず」で終わる故事・ことわざ・慣用句 — 371 件
相手変われど主変わらず(あいてかわれどぬしかわらず)
相手になる人は次々と変わっているのに、こちらは変わらず同じことを繰り返し続けること。 進歩や変化のみられない様子をいう言葉。 「相手変われど手前変わらず」ともいう。
相も変わらず(あいもかわらず)
いつもと変わらず。「相変わらず」を強調した言い方。
敢えて天下の先とならず(あえててんかのさきとならず)
積極的に人の先頭に立つことを避け、控えめな姿勢を保つことで、波風を立てずに安泰な生活を送ることができるという考え方。 先頭に立つと競争や妬みなど人間関係のトラブルに巻き込まれるリスクが高まるため、あえて目立たない立場に身を置くことが賢明だとされる。 出典では「故(ゆえ)に能(よ)く器長(きちょう)を成(な)す」と続き、控えめな態度を保つことで、かえって周囲の人々を上手に導く優れた指導者になれると述べられている。
仰いで天に愧じず(あおいでてんにはじず)
天を仰ぎ見ても恥ずかしくないほど、心も行いも何らやましいことがないこと。
悪銭身に付かず(あくせんみにつかず)
不当な手段で得た金は大切にしないから、とかくつまらないことに使ってしまい残らないものだということ。
朝雨に傘いらず(あさあめにかさいらず)
朝の雨はすぐにやむということ。
朝に夕べを謀らず(あしたにゆうべをはからず)
事態が切迫していて、余裕がないことのたとえ。 朝にその日の夕方のことを考えるゆとりがないという意味から。
値を二つにせず(あたいをふたつにせず)
相手によって、値段を上げたり下げたりするような悪賢い商売はしないということ。
頭隠して尻隠さず(あたまかくしてしりかくさず)
悪事や欠点の一部を隠して、全部を隠したつもりでいる者をあざけっていう言葉。雉(きじ)が草むらに頭を突っ込み隠れたつもりでも、尾が見えていることから。
当たらず触らず(あたらずさわらず)
どちらとも衝突を起こさないように、どっちつかずの曖昧な態度を取って済ませるようす。
中らずと雖も遠からず(あたらずといえどもとおからず)
ぴったり当たっていないが、ほぼ的中と言えるということ。 「中らず」は「当たらず」とも書く。
辺り構わず(あたりかまわず)
周囲の状況や他人の迷惑などを気にしないで、自分の好きなように振る舞うようす。
後先見ず(あとさきみず)
後のことをよく考えずに行動するようす。
虻蜂取らず(あぶはちとらず)
二つのものを同時に得ようとして、結局はどちらも取り逃がしてしまうことのたとえ。欲張りすぎて失敗することのたとえ。 虻と蜂を両方捕ろうとして、結局どちらにも逃げられてしまうことから。
網の目に風たまらず(あみのめにかぜたまらず)
無駄なこと、何の効果もないことのたとえ。網で風を防ごうとしても、風は網の目を通り過ぎていくことから。
雨塊を破らず、風枝を鳴らさず(あめつちくれをやぶらず、かぜえだをならさず)
世の中が大平であることのたとえ。周公が中国を統治していた頃は天下泰平で、雨は静かに降って土のかたまりを壊さず、風は木の枝も動かないように静かに吹いたという故事から。
あるは厭なり思うは成らず(あるはいやなりおもうはならず)
ものごとが思うようにいかないこと。 自分を好きになってくれる相手は好きになれず、自分が思う相手はふりむいてくれないという意味から。
威あって猛からず(いあってたけからず)
威厳があり、しかも温厚で荒々しくないようす。孔子の人柄を弟子が評したことばで、君子の理想的な人柄をいうことば。
言うに及ばず(いうにおよばず)
わざわざ言う必要がない。言うまでもない。
家を道端に作れば三年成らず(いえをみちばたにつくればさんねんならず)
他人の助言をいちいち聞いていると、何事もやり遂げることが出来ないというたとえ。 道に面した場所に家を建てようとすると、口出しをする人が多くてなかなか出来上がらないとの意から。
怒りを遷さず(いかりをうつさず)
腹が立つことがあっても、他人に当り散らしてはいけないということ。
怒れる拳、笑顔に当たらず(いかれるこぶし、えがおにあたらず)
怒って強い態度で向かってきた者に対しても、優しい態度で接するほうが効果的であるということ。怒って振り上げた拳も、相手の笑顔に気勢をそがれて打ち下ろせないとの意から。
息の臭きは主知らず(いきのくさきはぬししらず)
自分の欠点は自分では気づかないということ。 自分の息が臭いことは自分ではわからないことから。
委細構わず(いさいかまわず)
どのような事情があろうとも。遠慮なく。 「委細」は、くわしい事情。
潔しとせず(いさぎよしとせず)
自分の信念に照らし合わせて、許すことが出来ない。
いざ知らず(いざしらず)
…についてはわからないが。…はともかく。
石に布団は着せられず(いしにふとんはきせられず)
親が死んでからでは、したくても孝行はできないということ。 「石」は墓石のことで、墓石に布団を着せても何の役にも立たないことから。
一議に及ばず(いちぎにおよばず)
わざわざ議論する必要もない。
一念、天に通ず(いちねん、てんにつうず)
成し遂げようとする強い信念があれば、その意志は天に通じ必ず成就するということ。
一も取らず二も取らず(いちもとらずにもとらず)
二つのものを同時に得ようとすると、結局どちらも手に入らなくなることのたとえ。
一文惜しみの百知らず(いちもんおしみのひゃくしらず)
目先の損得にとらわれて、あとで大損することに気づかない愚かさを嘲笑するたとえ。たった一文惜しんだために、あとで百文もの損失を招く意から。
一を識りて二を知らず(いちをしりてにをしらず)
知識が浅く応用力がないこと。一つのことだけ知って、それ以外のことには知識がない意から。
一糸纏わず(いっしまとわず)
衣類を何も身に付けていない。素っ裸である。
一糸乱れず(いっしみだれず)
整然としていて、少しの乱れもない。
一寸の光陰軽んずべからず(いっすんのこういんかろんずべからず)
ほんのわずかな時間でも無駄にしてはいけないということ。「光陰」は月日、時間の意。
一丁字を知らず(いっていじをしらず)
まったく字が読めないこと。 「一丁字」は一つの文字のこと。 「丁」は个(か)の誤用で、「个」は人やものなどを数える語。 「一丁字を知(識)らず」ともいう。
命知らず (いのちしらず)
死を恐れずに物事を行うこと。また、そのような人。
井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)
他に広い世界があることを知らずに、自分の周りの狭い見識や知識にとらわれてこと。 小さな井戸に住んでいる蛙は、井戸の外の世界に大きな海があることなど知らないとの意から。 「坎井の蛙」「井底の蛙」「井蛙」などともいう。
殷鑑遠からず(いんかんとおからず)
戒めとなる失敗の例は、すぐ身近にあるというたとえ。 殷の国民が鑑(かがみ)とすべき手本は、遠い時代に求めなくても、前代の夏(か)の滅亡がよい戒めであるとの意から。
慇懃を通ず(いんぎんをつうず)
男女がひそかに情交を結ぶ。 「慇懃」は、親しい交際のこと。
飢えたる犬は棒を恐れず(うえたるいぬはぼうをおそれず)
生活に困った人間は、危険な事や悪い事をするのを恐れないことのたとえ。 飢えた犬は、人間が棒を持っていても恐れずに、食べ物にありつこうとするという意味から。
飢えては食を択ばず(うえてはしょくをえらばず)
飢えているときには、食べ物を選り好む余裕などないため、何でも食べるということ。
魚と水(うおとみず)
切っても切れない非常に親しい関係のたとえ。
魚の目に水見えず(うおのめにみずみえず)
自分の身近なものの価値には気がつきにくいことのたとえ。
牛に対して琴を弾ず(うしにたいしてことをだんず)
愚か者にいくら立派な道理を説いても何の役にも立たないことのたとえ。牛に琴を聞かせても反応がないことから。
疑わしきは罰せず(うたがわしきはばっせず)
刑事訴訟で、犯罪事実がはっきりと証明されないときには、被告人を有罪にしてはならないという原則のこと。
内に省みて疚しからず(うちにかえりみてやましからず)
自分の心の中を振り返ってみて、良心に恥じることが少しもないということ。
倦まず撓まず(うまずたゆまず)
飽きたり怠けたりしないで、こつこつと努力し続けること。
有無相通ず(うむあいつうず)
互いに足りないものを交換し融通し合うこと。
有無を言わせず(うむをいわせず)
相手の承知不承知に関係なく。無理やりに。否応なしに。
易者、身の上知らず(えきしゃ、みのうえしらず)
他人のことについてはいろいろと言えても、自分のことはよくわからないことのたとえ。 「易者」は、占い師のこと。 他人の運命を占う占い師も、自分の身の上についてはわからないとの意から。
枝を鳴らさず(えだをならさず)
世の中が平穏無事な様子。
遠水、近火を救わず(えんすい、きんかをすくわず)
遠くにあるものは、緊急時には役に立たないということ。 遠くにある水は、近くの火事を消すのには役に立たないとの意から。
円石を千仞の山に転ず(えんせきをせんじんのやまにてんず)
非常に勢いが激しく、抑えようがないことのたとえ。 高い山から丸い石を落とすと、ものすごい勢いで転がることから。
老いたる馬は道を忘れず(おいたるうまはみちをわすれず)
経験を積んだ人は方針を誤らないというたとえ。 老馬はいろいろな道を知っており、迷うことがないということから。 中国、斉の桓公が山中で道に迷った時に、老馬の歩みに従って無事に帰り着いたという故事から。
応接に暇あらず(おうせつにいとまあらず)
人の相手をするのに追われて休む暇もないようす。また、ものごとが次から次へと起こって多忙なようす。もとは、美しい自然の風景が次から次に展開し、ゆっくり味わう暇がない意から。
大木の下に小木育たず(おおきのしたにおぎそだたず)
大きな権力の庇護の下では立派な人間は育ちにくいということ。 大きな木の下は採光や風通しが悪く、小さな木が育たないとの意から。
屋漏に愧じず(おくろうにはじず)
たとえ人が見ていない場所でも、人に知られて恥じるような行いはしないということ。「屋漏」は家の一番奥まった所、または人目につかない所の意。
驕る平家は久しからず(おごるへいけはひさしからず)
驕り高ぶって滅亡した平家のように、贅沢を尽くし勝手気ままにふるまう者は、長く栄えることなく早く滅びてしまうというたとえ。
落ち武者は薄の穂にも怖ず(おちむしゃはすすきのほにもおず)
怖いと思えば、なんでもないものまで怖く感じることのたとえ。戦に負けて逃げる落ち武者は、揺れるすすきの穂まで怖がるということから。
落ちれば同じ谷川の水(おちればおなじたにがわのみず)
出発点は違っていても、行き着く先は同じだということ。また、人間も身分や貧富の差があっても、死ねばみな同じであるということ。 雨・霰(あられ)・雪・氷など形はさまざまでも、地上に落ちてしまえば同じ谷川を流れる水になるとの意から。 「雨霰雪や氷と隔(へだ)つらん落つれば同じ谷川の水」との和歌より。
鬼も頼めば人食わず(おにもたのめばひとくわず)
相手の好きな事であっても、こちらから頼むともったいぶってしてくれないことのたとえ。 鬼に食べてくれとこちらから頼めば、かえってたべないとの意から。 「頼めば鬼も人食わず」ともいう。
怖めず臆せず(おめずおくせず)
まったく気後れせずに堂々と振る舞うさま。
面も振らず(おもてもふらず)
他に心を向けず、その事だけに一生懸命に取り組んでいるさま。
親の心、子知らず(おやのこころ、こしらず)
子どもを思う親の深い愛情を知らず、子どもは勝手気ままなことをするということ。
尾を振る犬は叩かれず(おをふるいぬはたたかれず)
従順な人は誰からも害を加えられることはないというたとえ。尾を振ってなついてくる犬は人から叩かれないということから。
陰陽師、身の上知らず(おんようじ、みのうえしらず)
他人のことについてはいろいろと言えても、自分のことはよくわからないことのたとえ。 他人の運命を占う陰陽師も、自分の身の上についてはわからないとの意から。
恩を以て怨みに報ず(おんをもってうらみにほうず)
恨みのある者に対して、復讐するのではなく、逆に恩徳を施すような広い心で接すること。
海棠の睡り未だ足らず(かいどうのねむりいまだたらず)
眠り足らず酔いのさめきらない美人の、なまめかしい姿の形容。「海棠」は、春に薄紅色の美しい花が咲く庭木。玄宗皇帝が楊貴妃を評した言葉から。
怪力乱神を語らず(かいりょくらんしんをかたらず)
君子というものは道理にそむいたこと、理性で説明がつかないことは口にしないということ。転じて、不確かなこと、怪しげなことは口にすべきではないということ。「怪力乱神」は、「怪しく不思議なこと」「強い力」「道理を乱すこと」「鬼神」をあわせていったもので、計り知れない不思議な現象や存在のこと。
蛙の面に水(かえるのつらにみず)
どんなことをされても気にせず平気でいることのたとえ。蛙は顔に水をかけられても平気でいることから。
河海は細流を択ばず(かかいはさいりゅうをえらばず)
度量の広い大人物は、どんな人でも受け入れるというたとえ。「河」は黄河のこと。黄河や大きな川はどんな小さな流れでも差別なく受け入れるという意味から。
垣堅くして犬入らず(かきかたくしていぬいらず)
家庭内が健全であれば外部からこれを乱すような者が入ってくることはないということ。垣根が厳重だと犬が入ってこられないという意味から。
嘉肴ありと雖も食らわずんばその旨きを知らず(かこうありといえどもくらわずんばそのうまきをしらず)
何事も自分で体験してみなければ、その価値やすばらしさがわからないということ。 「嘉肴」は、おいしい料理。 どんなにおいしい料理も、自分で食べてみなければそのおいしさはわからないとの意から。
駕籠舁き駕籠に乗らず(かごかきかごにのらず)
日頃から仕事で使用しているものは、自分のためには使用しないということ。 また、他人の面倒を見るばかりで、自分のことには手が回らないこと。 「駕籠舁き」は、駕籠に人を乗せて運ぶことを職業にしている人。 駕籠舁きは、自分の駕籠には乗らないとの意から。
稼ぐに貧乏追い付かず(かせぐにびんぼうおいつかず)
一生懸命働けば、貧乏に苦しむことはないというたとえ。 「稼ぐに貧乏追い付かず」「辛抱に追い付く貧乏なし」「稼げば身立つ」ともいう。
風は吹けども山は動せず(かぜはふけどもやまはどうせず)
周囲の騒ぎの中で、少しも動じないで悠然としていることのたとえ。 激しい風が吹き荒れても山はびくともしないとの意から。
筐の水(かたみのみず)
ものごとの当てにならないこと。また、ものごとが頼りにならないこと。 「筐(かたみ)」は、竹で細かく編まれた籠。 筐で水を汲んでもすぐに漏れてしまうことから。
渇しても盗泉の水を飲まず(かっしてもとうせんのみずをのまず)
どんなに困っていても、断じて不正には手を出さないというたとえ。「盗泉」は、中国山東省にある泉の名。孔子はのどが渇いていても、その名を嫌って泉の水を飲まなかったという故事から。
瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず(かでんにくつをいれず、りかにかんむりをたださず)
人から疑われるような行動は避けるべきであるという戒めの言葉。 「瓜田」は、瓜(うり)を育てている畑。 「李下」は、李(すもも)の木の下。 瓜を盗むのではないかと疑われるので瓜田では靴を履きなおしてはいけない、李を盗むのではないかと疑われるので李の木の下では冠をかぶりなおしてはいけないということ。 単に「瓜田に履を納れず」「李下に冠を正さず」ともいう。 また、「李下の冠、瓜田の履」ともいう。