「と」を含む故事・ことわざ・慣用句
「と」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1572 件
影の形に随うが如し(かげのかたちにしたがうがごとし)
いつもいっしょにいて離れないこと。 影が必ず物につき随うことから。 「影の形に添うが如し」「影の形に添うように」ともいう。
影を畏れ迹を悪む(かげをおそれあとをにくむ)
自分で勝手に悩みを作り、心を平静に保つことができないことのたとえ。 自分の影と足跡におびえ、それから逃れようと走り続けて、ついに力尽きて死んでしまったという故事から。
影を落とす(かげをおとす)
光がさすこと。 光が投げかけられることによって影ができることから。 転じて、影響を及ぼすこと。
嘉肴ありと雖も食らわずんばその旨きを知らず(かこうありといえどもくらわずんばそのうまきをしらず)
何事も自分で体験してみなければ、その価値やすばらしさがわからないということ。 「嘉肴」は、おいしい料理。 どんなにおいしい料理も、自分で食べてみなければそのおいしさはわからないとの意から。
駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人(かごにのるひとかつぐひと、そのまたわらじをつくるひと)
人の生き方は、貧富の差や境遇によってさまざまであるということ。また、そのさまざまな人のつながりで、世の中はうまく成り立っているということ。 世の中には駕籠に乗る身分の人もいれば、その駕籠を担ぐひともいる。また、駕籠を担ぐひとの履く草履を作る人もいる。 人の世は持ちつ持たれつであるとの意から。
籠の鳥、雲を慕う(かごのとり、くもをしたう)
拘束された者が自由な境遇をうらやむことのたとえ。また、故郷を恋しく思うことのたとえ。 籠の鳥が空の雲を恋しく思うことから。 「籠の鳥、雲を慕う」ともいう。
傘と提灯は戻らぬつもりで貸せ(かさとちょうちんはもどらぬつもりでかせ)
傘と提灯は、必要な時以外は忘れがちな物だから、貸す時は返してもらえないつもりで貸せということ。
笠の台が飛ぶ(かさのだいがとぶ)
首を斬られること。転じて、解雇されること。 「笠の台」は、人間の頭を、笠を乗せる台に見立てていった言葉。
火事あとの釘拾い(かじあとのくぎひろい)
大損や浪費の後に、少しの節約をしたところで何の足しにもならないということ。 火事で家屋敷を焼失した後に、焼けた釘を拾っても役に立たないことから。
火事あとの火の用心(かじあとのひのようじん)
時機に遅れて役に立たないことのたとえ。 火事を出してしまってから火の用心をしても間に合わないとの意から。
火事と喧嘩は江戸の花(かじとけんかはえどのはな)
江戸は人家が密集していたため大火事が多く、火消しの働きぶりが華やかであった。また、江戸っ子は気が短いため喧嘩も威勢がよく派手であった。この二つが江戸の名物だったということ。
火事と葬式に行けば勘当もゆりる(かじとそうしきにいけばかんどうもゆりる)
火事や葬式の時にわびに行って手伝えば、勘当された者も許されるということ。「ゆりる」は、許されるという意。
舵を取る(かじをとる)
物事がうまく進むように全体をまとめて導くこと。 船が正しい方向に進むように、舵を操るということから。
掠りを取る(かすりをとる)
仲介者が、他人の利益の一部を自分のものとして取ること。
苛政は虎よりも猛し(かせいはとらよりもたけし)
悪政が人民に与える害は、虎よりも恐ろしいということ。 「苛政」は、人民を苦しめる過酷な政治のこと。 中国の泰山の麓で、家族を虎に食われ泣いていた婦人に孔子が「何故この国を出て行かないのか」と尋ねると「苛政がないからだ」と答えたという故事から。
風邪は万病のもと(かぜはまんびょうのもと)
風邪はあらゆる病気のもとなので、たかが風邪と油断せず用心が必要であるということ。 「風邪は百病のもと」「風邪は百病の長」ともいう。
形の如く(かたのごとく)
ものごとが決まった法則の通りに行われるさま。
肩を落とす(かたをおとす)
がっかりして気力を失うさま。 力が抜けて肩が垂れ下がる意から。
かちんと来る(かちんとくる)
相手の言動が気に障って、不快を感じること。 「かちん」は擬音語であり、かたい物がぶつかる音のこと。
渇しても盗泉の水を飲まず(かっしてもとうせんのみずをのまず)
どんなに困っていても、断じて不正には手を出さないというたとえ。「盗泉」は、中国山東省にある泉の名。孔子はのどが渇いていても、その名を嫌って泉の水を飲まなかったという故事から。
勝って兜の緒を締めよ(かってかぶとのおをしめよ)
戦いに勝っても油断しないで心を引き締めよという戒めの言葉。 戦いに勝って兜を脱いだ時に、敵に襲われたらひとたまりもないので、勝っても兜の緒を締めなおして気を抜くなとの意から。
かっとなる(かっとなる)
感情がたかぶって冷静な判断ができなくなる。頭に血が上る。
餓えて死ぬは一人、飲んで死ぬは千人(かつえてしぬはひとり、のんでしぬはせんにん)
餓えて死ぬ人間は少ないが、酒の飲みすぎが原因で死ぬ人間は非常に多いということ。
角が取れる(かどがとれる)
年を取ったりして嫌味がなくなり、人柄が穏やかになること。
鼎の軽重を問う(かなえのけいちょうをとう)
権威ある人の実力や能力を疑うたとえ。「鼎」は古代中国で使われた金属性の器のことで、祭器として用いられたことから、王位の象徴となった。楚の荘王が周を軽んじ、周王室の九鼎の大小や軽重を問うたという故事から。
鼎の沸くが如し(かなえのわくがごとし)
鼎の中で湯が沸き立つように、物事が混乱して騒がしく、おさまりがつかないことのたとえ。
悲しい時は身一つ(かなしいときはみひとつ)
困ったり落ちぶれたりすると、他人は当てにならず、頼りになるのは自分だけだということ。「身一つ」は財産もなく自分の体だけという意。
叶わぬ時には親を出せ(かなわぬときにはおやをだせ)
言い訳に困った時には、親を引き合いに出すことで口実を作れということ。
叶わぬ時の神頼み(かなわぬときのかみだのみ)
普段は信仰心を持たない者が、事が叶わない時だけ、神様に祈って助けてもらおうとすること。
蟹を縦に歩かせることはできない(かにをたてにあるかせることはできない)
横に歩く蟹を縦に歩かせるのは無理なように、生まれつきの性格は変えられないということ。
金請けするとも人請けするな(かねうけするともひとうけするな)
借金の保証人になっても、身元保証人にはなるなということ。人の保証人になると厄介なことが多いことをいう。
金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる(かねさえあればとぶとりもおちる)
世の中のたいがいの事が金で解決できるということのたとえ。
金と塵は積もるほど汚い(かねとちりはつもるほどきたない)
金持ちになればなるほど、欲深くけちになることをあざけっていうことば。
金に糸目を付けぬ(かねにいとめをつけぬ)
惜しみなく金を使うようす。 「糸目」は凧の表面につけて引き締めるための糸。 糸目を付けない凧が飛ぶように金を使うことから。
金の貸し借り不和の基(かねのかしかりふわのもと)
金の貸し借りは仲たがいの原因になりがちだから気をつけよという戒め。
金持ちと灰吹きは溜まるほど汚い(かねもちとはいふきはたまるほどきたない)
金持ちは、財産を増やそうとしたり、減らすまいとしてけちになり、心が卑しくなるというたとえ。「灰吹き」はたばこの吸い殻を入れる竹筒のことで、吸い殻が溜まることと金が貯まることをかけている。
金を貸せば友を失う(かねをかせばともをうしなう)
金の貸し借りには問題が起こりやすく、親しい友人同士でも金の貸し借りはするべきではないという戒め。
禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)
わざわいと幸福は、より合わせた縄のように表裏一体を成しているということ。「糾う」とは縄をより合わせること。
兜を脱ぐ(かぶとをぬぐ)
降参すること。戦いに負けた武士が、敗北を認めたしるしに兜を脱いだことから。
蕪は鶉となり、山芋は鰻となる(かぶらはうずらとなり、やまいもはうなぎとなる)
起こるはずのないことが時には起こることのたとえ。また、身分の低い人が急に出世したり金持ちになることのたとえ。 いくら形が似ていても、蕪(かぶら)が鶉(うずら)になったり山芋が鰻になったりすることなどありえないが、それが起こるとの意から。 「山の芋鰻になる」ともいう。
神様にも祝詞(かみさまにものりと)
わかりきったことでも、黙っていては相手に通じないので、口に出して言うほうがよいというたとえ。 いくら神様でも、お祈りの言葉を聞かなければその人の願いは分からないとの意から。
裃を着た盗人(かみしもをきたぬすびと)
役人でありながら私腹を肥やす者のたとえ。
神は見通し(かみはみとおし)
神様は人々のどんなに小さい行為でも見抜いているので誤魔化すことはできないということ。 「神様はお見通し」「天道様はお見通し」「天は見通し」「神仏は見通し」「仏は見通し」などともいう。
紙一重の差(かみひとえのさ)
差が極めてわずかなこと。 単に「紙一重」ともいう。
神も仏もない(かみもほとけもない)
困難な状況から救ってくれる神様も仏様もいないと嘆いていう言葉。
亀の甲より年の劫(かめのこうよりとしのこう)
年長者の豊富な経験を尊重すべきだということ。 「甲」と「劫」の音が同じであることをかけた言葉。
亀の年を鶴が羨む(かめのとしをつるがうらやむ)
欲望に限りのないことのたとえ。 千年の寿命をもつという鶴が、万年の寿命をもつ亀をうらやましがるとの意から。
蚊帳の外(かやのそと)
一人だけ内部の事情などを知らされずに、部外者の立場にあること。仲間はずれにされること。 蚊帳の外で蚊に刺される意から。
痒い所に手が届く(かゆいところにてがとどく)
細かい点まで心配りが行き届いて、気が利いていることのたとえ。
殻に閉じ籠もる(からにとじこもる)
自分の世界を守って、他との繋がりをさけようとすること。
借りる時の地蔵顔、返す時の閻魔顔(かりるときのじぞうがお、かえすときのえんまがお)
お金を借りる時は地蔵菩薩のようにやさしい顔をするが、返す時は閻魔大王のような不機嫌な顔をするということ。
彼も人なり、我も人なり(かれもひとなり、われもひとなり)
彼も自分と同じ人間なのだから、彼にできることが自分にできないはずはないということ。 努力を怠らなければ、他人にできることは何でもできるということ。
皮切りの一灸(かわきりのひとひ)
なんでも最初は苦しいものだというたとえ。一番初めにすえる灸が、ひどく熱いと感じられることから。
川越して宿とれ(かわこしてやどとれ)
先のことを考えて事前に対策を講じておくべきだということ。また、困難なことは後回しにせずに片付けておくべきだということ。 昔は大きな川には橋がなく、大雨が降ると渡れずに何日も足止めされることもあったので、宿を取るのは川を越してからにしろといわれていたことから。
川中には立てど人中には立たれず(かわなかにはたてどひとなかにはたたれず)
世渡りは難しいというたとえ。 流れが急な川の中に立つことはできても、世間に流されずに生きることは難しいとの意から。
癇癪持ちの事破り(かんしゃくもちのことやぶり)
気短な人間は少しのことでも怒り出して、決まりかけた話や計画を台無しにしてしまうことがあるということ。
間然するところなし(かんぜんするところなし)
非難すべき欠点がまったくないこと。 「間然」は、非難・批判すること。
官途に就く(かんとにつく)
役人になること。「官途」は、官吏の職務・地位のこと。
棺を蓋いて事定まる(かんをおおいてことさだまる)
人間の真価は死後になって初めて決まるということ。 棺に蓋をしたあとで、その人の本当の評価が定まるとの意から。 「人事は棺を蓋いて(うて)定まる」ともいう。
学者の取った天下なし(がくしゃのとったてんかなし)
学者は学問の上で政治を論ずるが、実際は理屈どおりにはいかず、学者に現実の国家を治める能力はないということ。
我を通す(がをとおす)
最後まで自分の主張を押し通すこと。
雁がたてば鳩もたつ(がんがたてばはともたつ)
身のほども考えず、むやみに人まねしようとすること。渡り鳥である雁が飛び立つのを見て、遠くまで飛べない鳩も飛び立つことから。
雁が飛べば石亀も地団駄(がんがとべばいしがめもじだんだ)
身のほどもわきまえず、むやみに人のまねをしようとすること。 雁が飛び立つのを見て、自分も飛ぼうとした石亀が、飛べずにくやしがって地団駄を踏むことから。 単に「石亀も(の)地団駄」とも、「鷹が飛べば石亀も地団駄」「蛙が飛べば石亀も地団駄」ともいう。
眼光紙背に徹る(がんこうしはいにとおる)
書物の表面上の意味だけでなく、背後にある真意も読み取ること。読解力が鋭いことのたとえ。 紙の裏まで見通すとの意から。 「眼光紙背に徹る」ともいう。
眼中人なし(がんちゅうひとなし)
他人のことは考えず、思うままに振る舞うこと。人を人とも思わないこと。
眼を飛ばす(がんをとばす)
悪意をもって、相手の顔を睨みつけること。 また、言いがかりの口実とする行為。
聞いた事は聞き捨て(きいたことはききすて)
人から聞いた事は、その場かぎりの話として聞き捨てるのがよいということ。 人から聞いた話を、面白半分に他の人にしゃべるなということ。
既往は咎めず(きおうはとがめず)
過ぎ去ったことをあれこれ咎めても仕方がない。これから先のことを大切にせよということ。
聞かぬ事は後学にならず(きかぬことはこうがくにならず)
どんなことでも聞いておかなければ将来のための教養にならないということ。
気が咎める(きがとがめる)
自分の言動や行動にやましさを感じ、申し訳ない気分になること。
危急存亡の秋(ききゅうそんぼうのとき)
生き残るか滅びるかの大きな岐路に立たされている時。「秋」は重大な時期の意。
聞くと見るとは大違い(きくとみるとはおおちがい)
人から聞いたのと実際に見るのとでは大きな違いがあるということ。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥(きくはいっときのはじ、きかぬはいっしょうのはじ)
知らないことを聞くのはほんの一時の恥で済むが、聞かずに知らないまま過ごすのは一生恥ずかしいということ。
機嫌を取る(きげんをとる)
相手の喜ぶような言動をとって気に入られようとすること。 また、相手の気持ちを慰めたり和らげたりすること。
樹静かならんと欲すれども風止まず(きしずかならんとほっすれどもかぜやまず)
親孝行をしようと思う時に、親はもうこの世にいなくてままならないというたとえ。樹木が静かに立っていようとしても、風が止まないので静かになれない意から。
帰心、矢の如し(きしん、やのごとし)
故郷や我が家に帰りたいと思う気持ちが募ること。
北に近ければ南に遠い(きたにちかければみなみにとおい)
一方に都合がよければ、他方には都合が悪いということのたとえ。また、あたりまえであることのたとえ。
機知に富む(きちにとむ)
その場の状況に応じて、気の利いた適切な発言ができる才能があること。
狐と狸(きつねとたぬき)
悪賢いもの同士のこと。狐も狸も人を化かすといわれることから。
狐虎の威を藉る(きつねとらのいをかる)
他人の権力に頼って、弱いものが空威張りすることのたとえ。 虎に捕らえられた狐が「天の神が私を百獣の長にした。だから私を食べると天の命令にそむくことになる。うそだと思うならついてきなさい。獣たちはみな逃げ出すはずだ」といった。 虎が狐のあとについていくと、獣たちがみな逃げて行った。 虎は自分を恐れて獣たちが逃げたことに気づかず、狐を恐れて逃げ出したと信じたという故事から。