「ふ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「ふ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 417 件
二股を掛ける(ふたまたをかける)
同時に二つの目的を遂げようとすること。または、結果がどちらに転んでも良いように、両方に関係を持つこと。一方に決めず、どちらにも関与しておく態度を表す。
蓋を開ける(ふたをあける)
物事を始めること。 または、物事の状況や結果などを確認すること。
札付き(ふだつき)
悪い意味で定評があること。またそのような人や商品。
降って湧く(ふってわく)
物事が突然起こる。思いがけないときにあらわれる。
普天の下、率土の浜(ふてんのもと、そっとのひん)
全世界のこと。 「普天の下」は天の下、「率土の浜」は地の果てのこと。 「[[普天率土(ふてんそつど)*https://yoji.jitenon.jp/yojih/3845.html]]」ともいう。
筆が立つ(ふでがたつ)
文章を書くのがうまいこと。
筆に任せる(ふでにまかせる)
形式などを考えず、思いついたままに文章を書くこと。
筆を入れる(ふでをいれる)
文章の足りない部分を書き足したり、不要な部分を取り除いたりすること。添削すること。
筆を擱く(ふでをおく)
文章を書くことを止めること。 または、最後まで書いてしまうこと。
筆を起こす(ふでをおこす)
文章を書き始めること。
筆を折る(ふでをおる)
文章や詩歌などを書くことをやめること。 文筆活動をやめること。
筆を加える(ふでをくわえる)
文章の足りない部分を書き足したり、不要な部分を取り除いたりすること。添削すること。
筆を染める(ふでをそめる)
文章などを書き始めること。 筆に墨などを含ませるという意味から。
筆を執る(ふでをとる)
文章や絵などを書くこと。
筆を揮う(ふでをふるう)
文字や絵などを書くこと。揮毫すること。
太く短く(ふとくみじかく)
我慢して長く生きるよりも、やりたいことをやって楽しんで生きたほうがよいということ。 また、たとえ長生きできなくても楽しんで生きたいという態度のこと。
懐が暖かい(ふところがあたたかい)
手持ちの金銭が多くあること。
懐が寒い(ふところがさむい)
手持ちの金銭が少ないこと。 「懐が寂しい」ともいう。
懐が深い(ふところがふかい)
度量が広いこと。包容力があること。 または、相撲で、胸が広くてまわしが掴みにくいこと。
懐を痛める(ふところをいためる)
必ずしも自分が支払う必要のない費用をあえて自分の金銭で支払うこと。
懐を肥やす(ふところをこやす)
不正をして個人的な利益を得ること。
船盗人を徒歩で追う(ふなぬすびとをかちでおう)
無駄な苦労のたとえ。また、適切ではない方法のたとえ。 船を盗んで海上を逃げる相手を、陸上から追いかけるとの意から。
鮒の仲間には鮒が王(ふなのなかまにはふながおう)
つまらない者の中では、やはりつまらない者が首領となることのたとえ。また、つまらない者たちの中にもそれにふさわしい首領がいるというたとえ。
腑に落ちない(ふにおちない)
納得できないこと。 「腑」は内臓のこと。転じて、心の意。 心に入ってこないという意味から。
舟に刻みて剣を求む(ふねにきざみてけんをもとむ)
古いしきたりや習わしにとらわれて、状況の変化に応じることができない愚かさのたとえ。 中国の楚の人が舟で長江を渡る途中に乗っている舟から剣を落としたため、慌てて舟べりに印をつけて、舟が岸に着いた後に印をつけた場所の川底を捜したという故事から。 「舟に刻(こく)して剣を求む」「剣を落として舟を刻む」「刻舟」ともいう。
舟は船頭に任せよ(ふねはせんどうにまかせよ)
何事もその道の専門家に任せたほうがうまくいくというたとえ。 船に乗った時は、口出しせずに船頭に任せるのが一番よいとの意から。
船は帆でもつ、帆は船でもつ(ふねはほでもつ、ほはふねでもつ)
世の中は互いに助け合って成り立っているということ。 帆掛け船は帆がなければ進まず、帆は船があってこそのものとの意から。
舟は帆任せ、帆は風任せ(ふねはほまかせ、ほはかぜまかせ)
すべてを成り行きにまかせるしかない状態、また成り行きに任せたほうがうまくいくというたとえ。 帆掛け船は帆任せ、帆は風任せで進むとの意から。
不発に終わる(ふはつにおわる)
弾丸や爆弾などが発射されなかったり、爆発しなかったりすること。 または、予定していたものが行われないこと。
不評を買う(ふひょうをかう)
悪い評価を受けること。
不平を鳴らす(ふへいをならす)
不平を強く言い立てること。
踏み台にする(ふみだいにする)
目的のために一時的に利用すること。
文は遣りたし書く手は持たず(ふみはやりたしかくてはもたず)
恋文を書いて送りたいが文字が書けない、また代筆を頼むのも恥ずかしいと思い悩む心情をいう言葉。 「文は遣りたし書く手は持たぬ」ともいう。
冬編笠に夏頭巾(ふゆあみがさになつずきん)
物事が逆さまであることのたとえ。 冬に夏用の編み笠をかぶり、夏に冬用の頭巾をかぶるとの意から。
蜉蝣の一期(ふゆうのいちご)
人の一生がはかないことのたとえ。「蜉蝣」はカゲロウのことで、朝生まれて夕べには死ぬということから。
冬来りなば春遠からじ(ふゆきたりなばはるとおからじ)
つらく厳しい時期を耐え抜けば、その先には幸せが待っているというたとえ。 寒い冬が来たということは、遠くないうちに暖かい春もやってくるということから。 イギリスの詩人シェリーの「西風に寄せる歌」の一節から。
冬の雪売り(ふゆのゆきうり)
いくらでもあるものを売っても、買い手などいないというたとえ。
不用の用(ふようのよう)
役に立たないと思われているものが、実は重要な役割を果たしていたり、かえって役に立ったりすること。 「不用の用」ともいう。
降らぬ先の傘(ふらぬさきのかさ)
失敗しないように前もって準備することのたとえ。 雨が降る前から傘を用意するとの意から。 「降らぬ先の傘」ともいう。
降りかかる火の粉は払わねばならぬ(ふりかかるひのこははらわねばならぬ)
自分の身に危険が迫れば、積極的にその危険を退けなければならないというたとえ。自分の体に降りかかってくる火の粉は、払わなければ火傷してしまうということから。
振り出しに戻る(ふりだしにもどる)
始めの状態に戻ること。
古い友達と古い葡萄酒に勝るものなし(ふるいともだちとふるいぶどうしゅにまさるものなし)
古い葡萄酒はこくがあって美味しいように、古い友達も気心が知れ、信頼できてよいものだということ。
篩に掛ける(ふるいにかける)
多くのものをより分けて、よいものを選別する。
古川に水絶えず(ふるかわにみずたえず)
栄えた旧家は、衰退してしまってもたやすく潰れることはないというたとえ。また、基礎のしっかりしたものは簡単には壊れないというたとえ。 水が枯れてしまったように見える古い川でも、川底では細々と流れが続いているとの意から。
古傷は痛み易い(ふるきずはいたみやすい)
古傷が季節の変わり目などによく痛むように、過去の悪事や過失も何かにつけて思い出され、心が痛むということ。
古木に手を掛くるな、若木に腰掛くるな(ふるきにてをかくるな、わかぎにこしかくるな)
将来性のないものにかかわりあうべきではなく、また将来性のあるものをあなどったり無理をさせたりしてはいけないというたとえ。 古い木は折れやすいので手をかけてはいけない、若い木は成長の妨げになるので腰掛けてはいけないとの意から。
故きを温ねて新しきを知る(ふるきをたずねてあたらしきをしる)
昔のことを研究し、そこから新しい知識や道理を発見すること。 「[[温故知新(おんこちしん)*https://yoji.jitenon.jp/yojic/1122.html]]」ともいう。
降れば必ず土砂降り(ふればかならずどしゃぶり)
不運が続くことのたとえ。 雨が降れば必ず土砂降りになるとの意から。
風呂敷を広げる(ふろしきをひろげる)
物事を実際よりも大げさに言う。
風呂と客は立ったが良い(ふろときゃくはたったがよい)
客は長居をせずに、早く帰るほうがよいということ。客が「立つ」と風呂が「たつ」を掛けていった言葉。
噴火山の上で踊る(ふんかざんのうえでおどる)
極めて危険な状態におかれていることに気がつかず、好き勝手なことをしていることのたとえ。 ナポレオン没落後のフランスで、貴族たちが毎夜のように舞踏会を開き、民衆の不満がつのり政情が悪かった時に、サルバンディ伯が言ったと伝えられる「我々は噴火山の上で踊っているのだ」という言葉から。
糞が出たが別が出ない(ふんがでたがべつがでない)
よい考えが浮かばない時におどけていう言葉。便所で考えるとよい考えが浮かぶといわれることから、「分別(ふんべつ)」の「分」と「糞」を掛けていった言葉。
刎頚の交わり(ふんけいのまじわり)
きわめて親しい交際のたとえ。 「刎頸」は首をはねること。 相手のためなら、たとえ首をはねられても後悔しないほどの交わりとの意から。 また、この交わりで結ばれた親友を「刎頸の友」という。
踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり)
悪いことが続けて起こる様子。
褌一貫(ふんどしいっかん)
自分の体のほかには、資本となるものを持っていないこと。 「貫」は昔の貨幣の単位。銭一千文。 裸の身だけが唯一の資本との意から。 「腕一本」「褌一貫」ともいう。
分別過ぐれば愚に返る(ふんべつすぐればぐにかえる)
あまり深く考え過ぎると、かえって失敗するということ。「分別」は思慮の意。
分別の上の分別(ふんべつのうえのふんべつ)
思慮の上に思慮を重ねるのがよいということ。「分別」は思慮の意。
分相応に風が吹く(ぶんそうおうにかぜがふく)
人にはそれぞれの身分や地位に応じた生き方があるということ。
丙丁に付す(へいていにふす)
火の中に投げ入れること。特に秘密の手紙や書類を焼くことをいう。十干で丙は火の兄(ひのえ)、丁は火の弟(ひのと)と呼ばれ、どちらも「火」の意味を持つことから。
下手の真ん中、上手の縁矢(へたのまんなか、じょうずのふちや)
物事は、時のはずみで意外な結果になり得ることのたとえ。 下手な人の矢が的の真ん中を射抜いたり、上手な人の矢が的から外れて縁に当たったりするとの意から。
法螺と喇叭は大きく吹け(ほらとらっぱはおおきくふけ)
嘘をつくなら人が信じないような大ぼらを吹け。そういう嘘なら人も傷つけず、嘘だとわかっても腹も立たないということ。 「法螺」は、山伏が吹く法螺貝のことで、ここではでたらめの意。吹き鳴らす法螺貝と喇叭を調子よく並べた言葉。
法螺を吹く(ほらをふく)
実際よりも大袈裟に言うこと。または、でたらめをいうこと。 「法螺」は法螺貝のことで、吹くと大きな音が出ることから。
彫りが深い(ほりがふかい)
顔の凹凸の差が大きいこと。
坊主の不信心(ぼうずのふしんじん)
他人には立派なことを言いながら、その人自身は実行が伴わないことのたとえ。 人に信仰を説く坊主が信仰心がないとの意から。
棒に振る(ぼうにふる)
それまでの苦労や努力を無駄にしてしまうたとえ。
前を踏み後ろにつまずく(まえをふみうしろにつまずく)
前に進むことも後ろに下がることもできないというたとえ。
枕を高くして臥す(まくらをたかくしてふす)
気にかかることがなく安眠することのたとえ。心配ごとが何もないさまをいう。
枕を振る(まくらをふる)
落語で、本題に入る前に、観客の関心を引いたり、場を和ませたりするために短い話をすること。
学ぶ門に書来る(まなぶかどにふみきたる)
好きで打ち込んでいれば、おのずから道が開けるというたとえ。学問を好む人のところには、自然と書物が集まってくるということから。
見て見ぬ振り(みてみぬふり)
実際にその場を目撃したにもかかわらず、見ていなかったかのように振る舞うこと。 また、他人の過ちなどを見逃すこと。
身二つになる(みふたつになる)
妊娠している人が出産すること。子どもを産むこと。
耳を塞ぐ(みみをふさぐ)
聞かないようにすること。
身も蓋もない(みもふたもない)
言動が露骨すぎて味気ないこと、または率直すぎて話の続けようがないことのたとえ。 「身」は蓋に対して器の意。 器も蓋もなく、剝き出しで隠しようがない状態との意から。
麦と姑は踏むが良い(むぎとしゅうとめはふむがよい)
麦は根の張りをよくするために芽を足で踏むほうがよいが、姑に対しても下手にばかり出ないで、時には抵抗するのも必要であるということ。
むすめふさほせ(むすめふさほせ)
百人一首のかるた取りで、最初の一音を聞いて取れる札は七首。効率よく記憶するために、その七首の最初の文字を取って「む・す・め・ふ・さ・ほ・せ」と並べたもの。
無駄足を踏む(むだあしをふむ)
わざわざ出掛けたのに、留守などで本来の目的を果たせずに徒労に終わること。
胸が塞がる(むねがふさがる)
悲しみや心配、不安などから気持ちが暗くなるさま。
胸を膨らませる(むねをふくらませる)
期待や喜びなどから、わくわくした気持ちになること。
目に触れる(めにふれる)
視界に入ること。見えること。
目のあるだけ不覚(めのあるだけふかく)
自分が犯した失敗には言い訳は通用せず、不注意や落ち度があったことを認めないわけにはいかないということ。 目があるにもかかわらず、見えなかったと言いのがれすることはできないとの意から。