「つ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「つ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1117 件
目の付け所(めのつけどころ)
特に注目すべき点のこと。
目は毫毛を見るも睫を見ず(めはごうもうをみるもまつげをみず)
人の欠点は細かい点までわかるが、自分のことはなかなか気がつかないというたとえ。 「毫毛」は細かい毛。 目は細かい毛さえも見ることができるのに、自分の睫(まつげ)は見ることができないとの意から。
目星を付ける(めぼしをつける)
大体の目当てを付けること。
目を付ける(めをつける)
特に関心をむけて注目すること。 「付ける」は「着ける」とも書く。
目を瞑る(めをつぶる)
非難したり責めたりせず、見て見ぬふりをすること。
芽を摘む(めをつむ)
ものごとが成長や発展する前に、その進行をとめたり、取り除いたりすること。
目を吊り上げる(めをつりあげる)
たかく目尻を上げること。怒った顔つきのたとえ。
面子が立つ(めんつがたつ)
体裁が保たれること。
雌鳥につつかれて時をうたう(めんどりにつつかれてときをうたう)
夫が妻のいいなりになることのたとえ。 雄鶏が雌鳥につつかれて時を告げるとの意から。
面目が立つ(めんぼくがたつ)
体裁が保たれて、人前で恥ずかしいおもいをせずに済むこと。 「面目」は「めんもく」とも読む。
面目が潰れる(めんぼくがつぶれる)
その人の名誉がひどく傷つくこと。
面目丸潰れ(めんぼくまるつぶれ)
名誉や体面などがひどく傷付けられるさま。
面目を潰す(めんぼくをつぶす)
名誉をひどく傷付けられること。世間からの評判を落とすこと。
燃え杭には火がつきやすい(もえぐいにはひがつきやすい)
一度関係のあった者は、いったん縁が切れても再び元の関係に戻りやすいというたとえ。 多くは男女の関係をいう。 「燃え杭」は燃え残りの木のことで、簡単に火がつくことから。 「焼け木杭には火がつきやすい」ともいう。
持ちつ持たれつ(もちつもたれつ)
お互いに助けあうさま。
持つべきものは子(もつべきものはこ)
他人ではあてにできない事も、わが子ならばしてくれる。子は持つべきもので、わが子ほどありがたいものはないということ。
持つべきものは女房(もつべきものはにょうぼう)
苦労や感動をともにわかち合える妻のありがたさを言うことば。
物には時節(ものにはじせつ)
ものごとをするには、それにふさわしい時機があり、それを外すと成功しないということ。
物も言いようで角が立つ(ものもいいようでかどがたつ)
ものは言い方ひとつで相手の感情をそこなうことがあるから、言葉遣いに気をつけたほうがいいということ。
諸刃の剣(もろはのつるぎ)
使い方によっては非常に役に立つが、同時に大きな害を与える危険のあるもののたとえ。両辺に刃のついた剣は、相手を斬ることも出来るが、自分をも傷つける恐れのあることから。「諸刃」は「両刃」とも書き、「りょうば」とも読む。
矢面に立つ(やおもてにたつ)
非難や質問などが集中的に受ける立場に立つこと。 「矢面」は、敵の矢の飛んでくる正面。
焼き餅は狐色(やきもちはきつねいろ)
女性の適度なやきもちはかわいいが、焼きすぎると嫌われる。餅を狐色に焼くように、ほどよい程度に焼くのがよいということ。
焼けたあとは立つが死んだあとは立たぬ(やけたあとはたつがしんだあとはたたぬ)
火事で焼けても家は立て直せるが、主人が死んだ後の家は存続が困難な場合が多いということ。また、焼けた家は再建できるが、人は死んだらおしまいということ。
焼け野の雉、夜の鶴(やけののきぎす、よるのつる)
子を思う親の情愛が深いことのたとえ。 「雉」はきじのこと。 雉は野を焼かれたら危険を顧みずに巣にいる子どもを助けに戻り、鶴は霜の降りる寒い夜には自分の羽を広げて子を暖めるとの意から。 単に「焼け野の雉」「夜の鶴」、また「夜鶴子を思う」「子を思う夜の鶴」ともいう。 「焼け野の雉」は、身を隠すところのない雉のことから、危険にさらされることのたとえとしてもいわれる。
易きに付く(やすきにつく)
楽な道を選ぶ。より簡単なほうを選ぶ。
柳の下にいつも泥鰌はいない(やなぎのしたにいつもどじょうはいない)
一度うまくいったからといって、いつも同じようにうまくいくとはかぎらないというたとえ。 柳の下で一度泥鰌を捕まえたからといって、そこでいつも泥鰌を捕まえられるとはかぎらないことから。
藪の外でも若竹育つ(やぶのそとでもわかたけそだつ)
藪の外でも竹が育つように、たとえ保護するものがいなくても、子どもはなんとか成長するものだということ。
藪をつついて蛇を出す(やぶをつついてへびをだす)
余計なことをして、かえって思わぬ災難を招くことのたとえ。 「藪をたたいて蛇を出す」とも、略して「藪蛇」ともいう。
山に躓かずして垤に躓く(やまにつまずかずしててつにつまずく)
大きなことには慎重に取り組むので失敗は少ないが、小さなことは油断して失敗しがちだということ。「垤」は、蟻塚(ありづか)のこと。
闇夜の礫(やみよのつぶて)
暗闇で鉄砲を撃つということから、あてずっぽうに事を行うことのたとえ。また、やっても効果のないことのたとえ。また、まぐれで当たることについてもいう。 「闇夜に鉄砲」「闇の夜に鉄砲」「闇夜の礫」ともいう。
槍持槍を使わず(やりもちやりをつかわず)
日頃から仕事で使用しているものは、自分のためには使用しないということ。 また、他人の面倒を見るばかりで、自分のことには手が回らないこと。 「駕籠舁き」は、駕籠に人を乗せて運ぶことを職業にしている人。 駕籠舁きは、自分の駕籠には乗らないとの意から。
勇将の下に弱卒なし(ゆうしょうのもとにじゃくそつなし)
上に立つ者がすぐれていれば、その部下もまたすぐれているということ。 勇敢な大将の下に弱い兵士はいないという意味から。 「強将の下に弱卒なし」ともいう。
幽明処を隔つ(ゆうめいところをへだつ)
死に別れること。 「幽」はあの世。「明」はこの世。 死んであの世とこの世の境界を越え、別々になるという意味から。 「幽明処を隔つ(ゆうめいところをへだつ)」ともいう。
湯水のように使う(ゆみずのようにつかう)
金銭などを惜しがる様子もなく無駄に使うこと。
夢は五臓の疲れ(ゆめはごぞうのつかれ)
夢を見るのは五臓(肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓)が疲れているのが原因だということ。 「患い」は「煩い」とも書く。 また、「夢は五臓の疲れ」ともいう。
夢枕に立つ(ゆめまくらにたつ)
夢の中に神仏や死んだ人の霊が現れて、物事を告げ知らせること。「夢枕」は夢を見ている人の枕元。
熊野松風は米の飯(ゆやまつかぜはこめのめし)
能の「熊野」と「松風」は、米の飯のように誰からも好まれる名曲であるということ。
宵越しの銭は使わぬ(よいごしのぜにはつかわぬ)
その日に儲けたお金はその日に使ってしまい、翌日には残さないということ。
楊枝で重箱の隅をつつく(ようじでじゅうばこのすみをつつく)
どうでもいいようなつまらない所まで取り上げて、口うるさく言うことのたとえ。 「楊枝で重箱の隅をほじくる」「楊枝で重箱の隅をつつく」「小楊枝で重箱の隅をほじくる」「重箱の隅を突っつく」などともいう。
用に立つ(ようにたつ)
応用がきいて役に立つこと。使い道があること。
俑を作る(ようをつくる)
よくないことを始めること。悪い前例を作ること。 「俑」は、死者とともに埋葬するための人形。 俑を一緒に埋めることが殉死という悪習を生んだとして、孔子がこれを憎んだという故事から。
欲に欲がつく(よくによくがつく)
欲というものは、いくら満足させても限りがないということ。
横手を打つ(よこでをうつ)
感じ入ったり、思い当たったりする時などに、思わず両方の手のひらを打ち合わせること。
横目を使う(よこめをつかう)
顔の向きは変えずに、目だけを動かして横を見ること。
誼を通じる(よしみをつうじる)
便宜を得るために、親密な関係を結ぼうと働きかけること。
余喘を保つ(よぜんをたもつ)
今にも滅びそうなものが、かろうじて持ち堪えていること。 「余喘」は、今にも絶えてしまいそうな息のこと。
四つに組む(よつにくむ)
正面から堂々と勝負すること。 また、全力で取り組むこと。
余桃の罪(よとうのつみ)
主君の寵愛が気まぐれであてにならないことのたとえ。 昔、中国の衛(えい)で弥子瑕(びしか)という美少年が食べかけの美味な桃を主君に献上し喜ばれたが、寵愛を失ってからはそれを理由に罰せられたという故事から。
世の中には月夜ばかりはない(よのなかにはつきよばかりはない)
いつも明るい月夜ばかりではなく、闇夜もあるから気をつけろということ。脅し文句として使われる言葉。
世の中は年中三月常月夜、嬶十七俺二十、負わず借らずに子三人(よのなかはねんじゅうさんがつじょうつきよ、かかあじゅうしちおれはたち、おわずからずにこさんにん)
世の中は、いつも三月頃の温暖な気候で、夜は明るい月夜、妻は十七歳自分は二十歳、責任も借金もなく、子どもは三人持つ暮らしが望ましいということ。江戸時代の庶民のささやかな願望をいった言葉。
喜んで尻餅をつく(よろこんでしりもちをつく)
物事が成功して有頂天になり、失敗を招いてしまうことのたとえ。
弱みに付け込む風邪の神(よわみにつけこむかぜのかみ)
悪いことが重なることのたとえ。
夜を日に継ぐ(よをひにつぐ)
昼夜の区別なく、事を続けること。 夜を昼につなげて続けて事を行うとの意から。
理屈上手の行い下手(りくつじょうずのおこないべた)
理屈を言うのは上手だが、いざ実践となるとさっぱりだめなこと。
理屈と膏薬はどこへでも付く(りくつとこうやくはどこへでもつく)
体のどこにでも付く膏薬のように、理屈はつけようと思えば、どんなことにでも、もっともらしくつけられるということ。
理屈を言えば腹が立つ(りくつをいえばはらがたつ)
自分の正当性を主張しても腹が立つばかりだから、理屈にこだわず適当に妥協したほうが得策であるということ。
理屈を捏ねる(りくつをこねる)
正当化するために、あれこれと無理筋な理屈を言うこと。
理屈を付ける(りくつをつける)
聞いた相手が正しいと思うような、それらしい理由を述べること。
竜虎相搏つ(りゅうこあいうつ)
強豪同士が勝負を競うこと。
竜馬の躓き(りゅうめのつまずき)
どんなにすぐれた人でも、時には失敗することもあることのたとえ。 「竜馬」とは足の速い駿馬のこと。 駿馬も躓くことがあることから。
両刃の剣(りょうばのつるぎ)
使い方によっては非常に役に立つが、同時に大きな危険を招くおそれもあるもののたとえ。両辺に刃のついた剣は、相手を斬ることも出来るが、自分をも傷つける恐れのあることから。「両刃」は「諸刃」とも書き、「もろは」とも読む。
悋気嫉妬は女の常(りんきしっとはおんなのつね)
女はやきもちを焼くものだということ。「悋気」はやきもちの意で「悋気」と「嫉妬」を重ねておもしろく言ったもの。
悋気は女の七つ道具(りんきはおんなのななつどうぐ)
やきもちは女の強力な武器だということ。「七つ道具」は武士が用いた七つの武具のこと。
累月に及ぶ(るいげつにおよぶ)
数か月に渡って続くこと。
類を以て集まる(るいをもってあつまる)
似通った者同士は自然に寄り集まるということのたとえ。
坩堝と化す(るつぼとかす)
その場に集まった多くの人々の興奮が高まって熱狂した状態になること。
列に入る(れつにはいる)
地位や資格などを得て、同じ立場として仲間に加わること。
老骨に鞭打つ(ろうこつにむちうつ)
年老いた体に鞭を打つようにして、力のかぎり物事に当たることのたとえ。
露命を繋ぐ(ろめいをつなぐ)
かろうじて生活しているたとえ。「露命」は露のようにはかない命の意。
呂律が回らない(ろれつがまわらない)
酒に酔った人や子どもなどが、舌が滑らかに動かず、言葉がはっきりしないようす。「呂律」は和音階を表す呂律(りょりつ)が転じて、言葉の調子の意。
論に負けても実に勝つ(ろんにまけてもじつにかつ)
議論で言い負かされても実利的に得になるほうが、実際の勝ちだということ。
論に負けても理に勝つ(ろんにまけてもりにかつ)
議論では言い負かされても、ものの道理では自分のほうが正しいということ。
我が子自慢は親の常(わがこじまんはおやのつね)
親は誰でも我が子を自慢したがるということ。
我が身を抓って人の痛さを知れ(わがみをつねってひとのいたさをしれ)
自分の身に引き比べて、人の苦しみや痛みを思いやることが大切だということ。
禍も三年経てば用に立つ(わざわいもさんねんたてばようにたつ)
時が経てば、災いが幸いに転じることもある。どんなものでも、役に立たないものはないというたとえ。
忘れたと知らぬには手がつかぬ(わすれたとしらぬにはてがつかぬ)
忘れたとか知らないという者には、何を言っても無駄であるということ。
割った茶碗を接いでみる(わったちゃわんをついでみる)
いまさら取り返しがつかないのに、諦めきれずにあれこれすることのたとえ。割れた茶碗はもとどおりにならないのに、接ぎ合わせてみることから。