「かん」を含む故事・ことわざ・慣用句
「かん」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 155 件
冠を曲げる(かんむりをまげる)
不機嫌になることのたとえ。
歓楽極まりて哀情多し(かんらくきわまりてあいじょうおおし)
喜びや楽しみが極まると、あとは悲しみの情が生じるということ。
還暦(かんれき)
数え年六十一歳のこと。六十年で再び生まれた年の干支に還ることから。 「本卦還り」ともいう。
棺を蓋いて事定まる(かんをおおいてことさだまる)
人間の真価は死後になって初めて決まるということ。 棺に蓋をしたあとで、その人の本当の評価が定まるとの意から。 「人事は棺を蓋いて(うて)定まる」ともいう。
款を通じる(かんをつうじる)
親しく交わりを結ぶこと。転じて、敵に内通すること。
歓を尽くす(かんをつくす)
大いに楽しんだり、喜んだりすること。 「歓を極める」ともいう。
管を以て大空を測る(かんをもっておおぞらをはかる)
自分の狭い見識で、大きな問題について勝手に判断することたとえ。 「管」は「かん」とも読む。 「管を以て大空を測る」「管の穴から天を覗く」「針の穴から天を覗く」ともいう。
行間を読む(ぎょうかんをよむ)
書物の表面上には表れていない、背後にある筆者の真意を読みとることのたとえ。
下種の勘ぐり(げすのかんぐり)
品性の卑しい愚かな人間は、何かにつけて邪推するということ。
言は簡を尊ぶ(げんはかんをたっとぶ)
話は無駄がなく、要領よく簡潔に話すのが大切だということ。
事がな笛吹かん(ことがなふえふかん)
何か事件が起こればそれに乗じようと、機会を狙って待ち構えること。 何か事が起こったら笛を吹いてはやしたてようとの意から。
今昔の感(こんじゃくのかん)
今と昔を比較して、その変化の大きさをしみじみと感じる気持ちのこと。
御意見五両、堪忍十両(ごいけんごりょう、かんにんじゅうりょう)
他人の意見をよく聞いて何事にも耐えることが大事だというたとえ。 人の忠告は五両の値打ちがあり、辛いことや怒りを耐え忍ぶことは十両の値打ちがあるということ。
歳寒の松柏(さいかんのしょうはく)
逆境で苦しい状況でも、信念や志を貫くことのたとえ。 「歳寒」は季節の冬。または逆境や苦難という意味。 松や柏などの常緑樹は寒い季節でも緑の葉をつけていることから。 「松柏の操」ともいう。
酒は燗、肴は刺身、酌は髱(さけはかん、さかなはさしみ、しゃくはたぼ)
酒を飲むには、ほどよい燗で、酒の肴は刺身、酌は若い女性にしてもらうのがいいということ。「髱」は日本髪の後頭部の部分の髪。転じて若い女性。
仕上げが肝心(しあげがかんじん)
物事は途中よりも、最後の仕上げが大切であるということ。
思案の案の字が百貫する(しあんのあんのじがひゃっかんする)
何事もよく考えてから行うことが大切であるというたとえ。 「百貫」は銭一貫の百倍。非常に価値があるもののたとえ。
指呼の間(しこのかん)
指さして呼べる、または呼べば答えるほどの近い距離のこと。
仕事幽霊飯弁慶、その癖夏痩せ寒細り、たまたま肥ゆれば腫れ病(しごとゆうれいめしべんけい、そのくせなつやせかんぼそり、たまたまこゆればはれやまい)
仕事は出来ないのに飯は山のように食べ、夏も冬のように痩せていて、たまに太ったかと思えば病気にかかっている。怠け者の大食漢の多病をあざけった言葉。
習慣は第二の天性なり(しゅうかんはだいにのてんせいなり)
習慣はいつしか深く身について、まるで生まれつきの性質のように日常生活に影響を及ぼすということ。
小寒の氷大寒に解く(しょうかんのこおりだいかんにとく)
物事が必ず順に従って進むわけではないということのたとえ。 最も寒いはずの大寒が小寒よりも温かいとの意から。
小人閑居して不善をなす(しょうじんかんきょしてふぜんをなす)
小人物は暇を持て余すと、とかくろくでもないことをするということ。「小人」は君子に対する言葉で、人徳や教養のない卑しい者の意。「閑居」は本来「間居」と書き、暇でのんびり暮らすこと。
心肝に徹する(しんかんにてっする)
ある出来事や言動などから、強い衝撃を受けて心に刻み込まれること。 「心肝」は心臓と肝臓のことで、転じて、心の奥底という意味。
心肝を砕く(しんかんをくだく)
ある物事について思い悩むこと。あれこれ考えて悩むこと。
心肝を寒からしめる(しんかんをさむからしめる)
心の底から恐れおののかせること。震え上がらせること。 「心胆」は、きもったまのこと。 「心肝を寒からしめる」ともいう。
時間の問題(じかんのもんだい)
結果がほぼ分かっていて、そのままの状態で近いうちにその結果になるだろうという状態。
時間を稼ぐ(じかんをかせぐ)
準備を整えたり有利な状況になったりするまで長引かせること。 「時間を稼ぐ」ともいう。
時間を割く(じかんをさく)
忙しい中で時間をやりくりして、あることをするために時間を作ること。
自慢高慢酒の燗(じまんこうまんさけのかん)
自慢や高慢、酒の燗もいい加減にしておくのがいいということ。
人生、意気に感ず(じんせい、いきにかんず)
人は相手の心意気に感じて行動するのであって、金銭や名誉のためではないということ。
人生、字を識るは憂患の始め(じんせい、じをしるはゆうかんのはじめ)
人は字を覚え学問をするようになると、心を痛めることが多くなる。なまじ字を覚え学問を積むと、かえって心配したり悩んだりするようになるということ。
沈丁花は枯れても香し(じんちょうげはかれてもかんばし)
もともと良いものは、たとえ盛りが過ぎても値打ちがあるというたとえ。沈丁花は枯れてもなおよい香りがすることから。
滑り道と観音経は早い方がよい(すべりみちとかんのんきょうははやいほうがよい)
滑りやすい道は人より先を歩く方が歩きやすく、退屈なお経は早く終わる方がありがたいということ。 「滑り道と観音経は早い方がよい」ともいう。
折檻(せっかん)
厳しく意見すること。また、懲らしめのために体罰を加えること。 中国前漢の成帝が、臣下である朱雲による諫言に怒り、朝廷から引きずり出そうとしたとき、朱雲は欄檻にしがみついて抵抗したため、ついには欄檻が折れてしまった。 国のこと思い諫言を続けた朱雲の行動に、最後は成帝も怒りを収めたという故事から。
栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし)
大成する人は幼少期から優れているというたとえ。 「栴檀」は、香木の名。白檀の異称。 白檀は発芽の頃から芳香を放つことから。
千日の旱魃に一日の洪水(せんにちのかんばつにいちにちのこうずい)
千日も続く日照りと、たった一日ですべてを流してしまう洪水とは、同じくらいの被害をもたらすということ。水害の恐ろしさをいった言葉。
千万人と雖も吾往かん(せんまんにんといえどもわれゆかん)
自分の信じた道は、たとえ千万人の敵がいても、恐れることなく立ち向かっていくということ。
総好かんを食う(そうすかんをくう)
関わりのある全ての人から嫌われること。
大旱の雲霓を望む(たいかんのうんげいをのぞむ)
物事の到来を待ち望むことのたとえ。 「大旱」はひどい日照り、「雲霓」は雲と虹のこと。 ひどい日照りの時に、雨の前触れである雲や虹を待ち望むとの意から。
大姦は忠に似たり(たいかんはちゅうににたり)
大悪人は本性を隠して主君に仕えるので、あたかも忠臣のようにみえるということ。「大姦」は大悪人の意。
達人は大観す(たつじんはたいかんす)
広く道理に通じた人は、物事の全体を見きわめて、正しい判断を下すということ。「達人」は物事の道理に深く通じた人、「大観」は広く全体を見通すこと。
痛痒を感じない(つうようをかんじない)
少しも利害や影響を受けない。
常に来る客は歓迎されず(つねにくるきゃくはかんげいされず)
たまに来る人は歓迎されるが、いつも来る人は客として喜ばれないという戒め。
亭主関白の位(ていしゅかんぱくのくらい)
家庭の中で夫が非常にいばっていること、また絶大な権威をもっていることのたとえ。 一家の主人が関白と同じ位にあるかのような権威をもっているとの意から。 「関白」は、昔、天皇を補佐した重職のこと。 「亭主関白」ともいう。
等閑に付す(とうかんにふす)
物事をいい加減に扱ったり、放っておいたりすること。
毒薬変じて甘露となる(どくやくへんじてかんろとなる)
有害なものが一転して有益なものになることのたとえ。また、同じ物が使い方によって、毒にも薬にもなることのたとえ。 「毒薬変じて甘露となる」ともいう。
怒髪、冠を衝く(どはつ、かんむりをつく)
すごい剣幕で怒る様子。また、そのような形相のたとえ。 烈しい怒りのために逆立った髪の毛が冠を突き上げるとの意から。 「かんむり」は「かん」とも読む。 「冠を衝く」は「天を衝く」ともいう。
丼勘定(どんぶりかんじょう)
収支を帳簿に細かくつけずに、大雑把に金を使うこと。 「丼」は、昔、職人などが身につけた、腹掛けという作業衣の腹部にある物入れのこと。 そのどんぶりに無造作に金を出し入れしていたことから。
ならぬ堪忍、するが堪忍(ならぬかんにん、するがかんにん)
これ以上は我慢できないというところを耐え抜くのが、真の忍耐だということ。
人間は考える葦である(にんげんはかんがえるあしである)
人間は自然の中ではか弱い存在であるが、思考する存在としては偉大であるということ。フランスの哲学者パスカルの「人間は自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」という言葉から。
肺肝を砕く(はいかんをくだく)
非常に苦心することのたとえ。「肺肝」は肺臓と肝臓のことで、転じて「心」の意。心が砕けてしまうほど考えるという意味。
伯仲の間(はくちゅうのかん)
ほとんど差がなく優劣がつけにくいこと。昔、中国では子どもの上から順に伯・仲・叔・季の字を当て、伯(長兄)と仲(次兄)では年齢にあまり差がないことから。
裸一貫(はだかいっかん)
自分の体のほかには、資本となるものを持っていないこと。 「貫」は昔の貨幣の単位。銭一千文。 裸の身だけが唯一の資本との意から。 「腕一本」「褌一貫」ともいう。
裸百貫(はだかひゃっかん)
男は無一文の身ひとつでも百貫の値打ちがあるということ。「貫」は昔の貨幣の単位で、一貫は一文銭千枚のこと。「百貫」は、価値があることのたとえ。
肌で感じる(はだでかんじる)
自身が直接経験して感じとること。
反感を買う(はんかんをかう)
自身の存在や言動によって相手が不快に思い、自身へ反発や反抗などの好ましくない感情を持たれること。
人盛んにして神祟らず(ひとさかんにしてかみたたらず)
人の運勢が盛んな時は、神仏でもこれをとどめることが出来ないということ。
百尺竿頭一歩を進む(ひゃくしゃくかんとういっぽをすすむ)
目標を達成しても、さらに向上しようと努力すること。また、十分に説明をした上に、さらに一歩進めて説明すること。 百尺の竿の先端に達しても、さらに一歩進もうとするとの意から。 「百尺」は「ひゃくせき」ともいう。
下手の考え休むに似たり(へたのかんがえやすむににたり)
よい考えも出ないのにあれこれ考えるのは、時間の無駄だということ。 もとは将棋や碁で、下手な人の長考をあざけって言った言葉。 「下手の思案は休むに同じ」ともいう。
坊主の花簪(ぼうずのはなかんざし)
持っていても何の役に立たない物のたとえ。「花簪」は造花などで飾ったかんざしのことで、坊主には役に立たないことから。
忙中閑あり(ぼうちゅうかんあり)
どんなに忙しい最中でも、わずかな暇はあるものだということ。
待てば甘露の日和あり(まてばかんろのひよりあり)
焦らずに待っていれば良い機会がきっとめぐってくるというたとえ。 「甘露」は、古代中国の伝説で、天が降らせたとされる甘い露のこと。 日照りの時も耐えて待てば、やがて甘露のような恵みの雨が降る日が来るとの意から。
無冠の帝王(むかんのていおう)
特別な地位などは持っていないが、実力を有している者のこと。 スポーツなどで、極めてすぐれた能力を持ちながら、大きなタイトルを獲得できずにいる人。 または、ジャーナリストや新聞記者などの自称。権力に屈することなく評論する人という意味から。
目睫の間(もくしょうのかん)
距離や時間がきわめて接近していることのたとえ。 目と睫(まつげ)の間のようにとても近いとの意から。
沐猴にして冠す(もっこうにしてかんす)
見かけは立派でも中身が愚かな者をあざけって言う言葉。 「沐猴」は猿のこと。 ある者が楚の項羽のことを「冠をかぶって気取っていても中身は猿だ」と評したという故事から。
物盛んなれば即ち衰う(ものさかんなればすなわちおとろう)
何事も盛りに達したら必ず衰え始める。いつまでも盛んな時は続かないということ。
物は考えよう(ものはかんがえよう)
ものごとは考え方ひとつで良くも悪くもなるということ。
門外漢(もんがいかん)
その事について専門家でない人や直接関係ない人。 「門」はその道、「漢」は男のことで、門外の男との意から。
薬缶で茹でた蛸(やかんでゆでたたこ)
物事に行き詰まり、どうしようもない様子。また、内に閉じこもり動けない様子。 薬缶で蛸を茹でると、蛸が硬くなり、手も足も出せない状態になることから。
藪医者の玄関(やぶいしゃのげんかん)
外見ばかり立派にして実質の伴わないことのたとえ。腕に自信のない医者ほど玄関を立派にするということから。
山師の玄関(やましのげんかん)
内容や実質がないのに見かけだけが立派なことのたとえ。「山師」は投機的な事業で大儲けをたくらむ人。その山師が人を信用させるために玄関を特に立派にすることから。
憂患に生き安楽に死す(ゆうかんにいきあんらくにしす)
人は心配事がある時は心をいため、命を守る努力をするが、憂いがなくなると心がゆるみ、思わぬ死を招くこともあるということ。
酔い醒めの水は甘露の味(よいざめのみずはかんろのあじ)
酒に酔って眠ったあとに目覚めて飲む水は、甘露のようにおいしいということ。「甘露」とは中国の伝説で、めでたいしるしに天から降ったといわれる甘い水のこと。
林間に酒を煖めて紅葉を焼く(りんかんにさけをあたためてこうようをたく)
林の中で紅葉を燃やして酒を暖めて飲み、秋の風情を楽しむこと。
矮子の観場(わいしのかんじょう)
見識がないことのたとえ。また、周りの意見に簡単に同調することのたとえ。 「矮子」は、背の低い人。「看戯」は芝居を観ること。 背が低く、舞台が見えていないのに、周りの批評を聞いて同調することから。