「の」を含む故事・ことわざ・慣用句
「の」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 2162 件
梓に上す(あずさにのぼす)
書物を出版すること。昔、木版印刷の版木に梓(あずさ)の木を使ったことから。 「梓」は「し」とも読む。
汗の結晶(あせのけっしょう)
多くの苦労や、並々ならない努力によって得られた成果のこと。
当たった者のふの悪さ(あたったもののふのわるさ)
悪いことに、たまたま当たった者が不運だったということ。 「ふ」は運の意。 大勢が悪さをしているにもかかわらず、そのうちの一部の者だけが捕まるような場合をいう。
頭に血が上る(あたまにちがのぼる)
感情がたかぶって冷静な判断ができなくなる。かっとなる。
頭の上の蠅も追われぬ(あたまのうえのはえもおわれぬ)
自分自身のことさえ満足に出来ないことのたとえ。 自分の頭にたかる蠅さえ追い払えないという意味から。
頭の上の蠅を追え(あたまのうえのはえをおえ)
他人のことをとやかく言ったり世話を焼いたりする前に、まずは自分自身のことを始末しなさい、という教え。
頭の黒い鼠(あたまのくろいねずみ)
物を盗む人のこと。家に住んでいて、物を盗む頭髪の黒い人間を、鼠になぞらえて言う言葉。
頭の天辺から足の爪先まで(あたまのてっぺんからあしのつまさきまで)
人の身体の上から下まで。全身のこと。転じて、何から何まで。全部。すべて。
頭の濡れぬ思案(あたまのぬれぬしあん)
先のことを考えるより、まずは自分の身に及んでいる問題を解決することが大事だということ。 いま降っている雨で頭を濡れないようにすることが先決だとの意から。
あだし野の露、鳥辺野の煙(あだしののつゆ、とりべののけむり)
人生の無常、はかなさのたとえ。 「あだし野」は、京都の嵯峨野にあった墓地。 「鳥辺野」は、京都の東山にあった火葬場。 人生を、はかなく消える墓地の露と火葬場の煙にたとえた言葉。 「あだし野」は「仇野」「徒野」、「鳥辺野」は「鳥部野」とも書く。 「鳥辺野」は「鳥部山」ともいう。
徒の悋気(あだのりんき)
自分とは何のかかわりもない他人の恋を妬みやきもちを焼くこと。「徒」は無駄、「悋気」は嫉妬の意。
羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)
失敗に懲りて、必要以上に用心深くなることのたとえ。 「羹」は熱い吸い物のこと。 熱い吸い物を飲んでやけどをしたことに懲りて、冷たい膾まで吹いて冷ますことから。
後の雁が先になる(あとのかりがさきになる)
後から来た者が、先の者を追い抜いてしまうこと。また、年上の者より年下の者が先に死んだ時にも使う。列をなして飛ぶ雁行のようすから。「雁」は「がん」とも読む。
後の喧嘩、先でする(あとのけんか、さきでする)
あとからもめ事が起こらないように、事前によく話し合いをしておくべきだということ。 あとで喧嘩をすることがないように、先に喧嘩しておけとの意から。
後の祭り(あとのまつり)
手遅れ。時機を逃したため、何の役にも立たないことのたとえ。
後は野となれ山となれ(あとはのとなれやまとなれ)
目前の問題さえ片付けば、あとはどうなってもよいということ。
穴の開くほど(あなのあくほど)
何かをじっと見つめるさま。
穴の貉を値段する(あなのむじなをねだんする)
あてにならない事をあてにする愚かさをいうことば。 捕まえる前から穴の中の貉の値段を考えることから。
姉女房は身代の薬(あねにょうぼうはしんだいのくすり)
夫より年上の妻は家計のやりくりもうまく、夫に尽くすので、家庭が円満であるということ。
あの声で蜥蜴食らうか時鳥(あのこえでとかげくらうかほととぎす)
人や物事は、見かけでは判断できないということ。美しい声で鳴く時鳥が蜥蜴を食べることに驚いた、という意味で、江戸時代の俳人、宝井其角の句から。
あの手この手(あのてこのて)
いろいろな手段や方法を使うこと。
あの世の千日、この世の一日(あのよのせんにち、このよのいちにち)
あの世の極楽で千日暮らすより、この世で一日でも楽しむほうがよいということ。
家鴨も鴨の気位(あひるもかものきぐらい)
それほどでもない者が、高い気位を持っていることのたとえ。 姿のよくない家鴨が、鴨の気位を持つことから。
危ないことは怪我のうち(あぶないことはけがのうち)
危ないことには、はじめから近寄るなという教え。 危険なことはもう怪我の圏内に入るとの意から。
脂が乗る(あぶらがのる)
魚などに脂肪がついておいしくなること。また、仕事などがおもしろくなり、調子が出ること。
油紙に火の付いたよう(あぶらがみにひのついたよう)
べらべらとよくしゃべる様子。油の付いた紙は、めらめらとよく燃えることから。
甘い物に蟻がつく(あまいものにありがつく)
甘い物に蟻が集まるように、利益にありつけそうなところには人が人が群がるということ。
雨垂れは三途の川(あまだれはさんずのかわ)
家から一歩出れば、どんな災難や危険が待ちかまえているかわからないということ。 軒下から落ちる雨だれを、あの世とこの世の堺である三途の川に見立てて、家から一歩出たら十分に注意せよとの戒めのことば。
天の邪鬼(あまのじゃく)
他人の意見などにわざと逆らう性質。また、そのような人。
雨夜の月(あまよのつき)
想像するだけで、現実には見ることのできないもののたとえ。雨夜にも月はあるはずだが、目には見えないことから。
余り物には福がある(あまりものにはふくがある)
最後まで残っている物の中には、思いがけずよいものがあるということ。
網、呑舟の魚を漏らす(あみ、どんしゅうのうおをもらす)
法の規制が及ばず、大悪人を取り逃がしてしまうことのたとえ。 網の目が粗いために、舟を呑み込むほどの大魚を逃がしてしまうことから。
阿弥陀の光も銭次第(あみだのひかりもぜにしだい)
金の力は絶大だというたとえ。阿弥陀仏の御利益も供える金の多少に影響されるということから。
網なくて淵を覗くな(あみなくてふちをのぞくな)
十分な用意なしでは物事はうまくいかないというたとえ。また、努力もしないで人を妬んではいけないということ。網を持たずに淵を覗き込んでも、魚は捕れるわけがないという意味から。
網の目に風たまらず(あみのめにかぜたまらず)
無駄なこと、何の効果もないことのたとえ。網で風を防ごうとしても、風は網の目を通り過ぎていくことから。
網の目に風たまる(あみのめにかぜたまる)
ありえないことのたとえ。 網の目を通り抜けるはずの風が網にたまるとの意から。
網の目を潜る(あみのめをくぐる)
捜査網や監視から巧みに逃れる。 また、法律や規則の盲点を突いて悪事をはたらく。
雨、車軸の如し(あめ、しゃじくのごとし)
大粒の雨がはげしく降るさま。雨脚を車軸に見立てていうことから。
雨の降る日は天気が悪い(あめのふるひはてんきがわるい)
あたりまえのこと、わかりきったことのたとえ。
雨は花の父母(あめははなのふぼ)
花にとって雨は、養い育ててくれる父母のようなものだということ。
危うきこと虎の尾を踏むが如し(あやうきこととらのおをふむがごとし)
非常に危険なことをすることのたとえ。
危うきこと累卵の如し(あやうきことるいらんのごとし)
きわめて不安定で危険な状態のたとえ。 「累卵」は積み重ねた卵のことで、いつ崩れるかわからないことから。
過ちは好む所にあり(あやまちはこのむところにあり)
過ちは、自分の好きな事や得意な事をしている時に、つい油断して起こるということ。
過つは人の性、許すは神の心(あやまつはひとのさが、ゆるすはかみのこころ)
人は誰でも過ちを犯すものなので、むやみに人を責めてはいけないということ。 「過ちは人の常、許すは神の業」ともいう。
嵐の前の静けさ(あらしのまえのしずけさ)
台風が来る前に一時的に風が止むように、事件や変事が起こる前の不気味な静けさのこと。
争い果てての棒乳切り(あらそいはててのぼうちぎり)
時機に遅れて何の役にも立たないことのたとえ。 「棒乳切り」は棒の切れ端のこと。 喧嘩が終わってから、棒切れを持ち出しても役に立たないことから。 「争い果てて」は「諍い果てて」や「喧嘩過ぎて」、「棒乳切り」は「乳切り木(千切り木)」などともいう。
新たに沐する者は必ず冠を弾く(あらたにもくするものはかならずかんむりをはじく)
潔白な人ほど自分の身を汚すおそれのあるものを避けるということ。 「沐」は髪を洗うこと。 髪を洗ったばかりの人は、必ず冠のちりを払ってから頭にのせるとの意から。
ありそうでないのが金(ありそうでないのがかね)
人の内情は外見からではわからない。ありそうに見えても、意外にないのが金だということ。
在りての厭い、亡くての偲び(ありてのいとい、なくてのしのび)
生きている間は悪いところばかり目について疎ましかった人が、いざ亡くなってみると今度は良いところばかり思い出されて、恋しくなるということ。
蟻の穴から堤も崩れる(ありのあなからつつみもくずれる)
ちょっとした油断・不注意から大事が起こることのたとえ。 蟻の穴を見過ごしたために堤防が崩れることもあるとの意から。
蟻の甘きにつくが如し(ありのあまきにつくがごとし)
蟻が甘いものに群がるように、利益のある所に人が群がることのたとえ。
蟻の思いも天に届く(ありのおもいもてんにとどく)
弱小な者でも懸命に努力すれば、希望を叶えることができるというたとえ。 蟻のように小さなものでも、一心に努力すれば願いは天に達するとの意から。 「蟻の思いも天に昇る」ともいう。
蟻の熊野参り(ありのくまのまいり)
多くの人が、ひっきりなしにぞろぞろ列を作って行くこと。昔、紀伊国(和歌山県)の熊野に参詣する人々が、まるで蟻の行列のように長く続いていたことから。
蟻の這い出る隙もない(ありのはいでるすきもない)
蟻が這い出て逃げ出す隙間もないほど警戒が厳しいようす。
ある時は米の飯(あるときはこめのめし)
あとで困ると思いながらも、余裕のある時は贅沢や浪費をしてしまうということ。米の飯が貴重だった昔、特別な日に腹いっぱい米の飯を食べつくしてしまうことから。
ある時払いの催促なし(あるときばらいのさいそくなし)
金の都合がついた時に返せばいい、催促は一切しないという寛大な借金の返済条件をいう言葉。
あるところにはあるもの(あるところにはあるもの)
世間の多くの人は金で苦労するものだが、一方で金持ちは有り余るほどの金を持っているということ。
合わせ物は離れ物(あわせものははなれもの)
合わせて作ったものは、いつか離れることがあるということ。夫婦の別れなどにいう。
慌てる蟹は穴の口で死ぬ(あわてるかにはあなのくちでしぬ)
何事も焦ったり慌てたりすると失敗するというたとえ。 「慌てる蟹は穴の口で死ぬ」ともいう。
鮑の片思い(あわびのかたおもい)
自分が慕っているだけで、相手にはその気がないこと。 片思いをしゃれていう言葉。 鮑の貝殻が二枚貝の片側だけのように見えることから。 「磯の鮑の片思い」「鮑の貝の片思い」ともいう。
鮟鱇の待ち食い(あんこうのまちぐい)
働かずにじっと機会を待って、利益を得ようとすることのたとえ。鮟鱇は大口を開けて、小魚が口に入ってくるのを待ち受けていることから。
晏子の御(あんしのぎょ)
他人の威光によりかかって得意になること。中国斉の宰相晏嬰(あんえい)の御者が、自分が宰相の馬車の御者であることを得意がり、その妻がそれを恥じて離縁を求めた。御者は大いに恥じて精励し、晏嬰に認められて出世したという故事から。
暗礁に乗り上げる(あんしょうにのりあげる)
思わぬ障害によって、物事の進行が阻まれることのたとえ。 「暗礁」は水面下にあって見えない岩のこと。 船が海の中の見えない岩に乗り上げて、先に進めなくなるとの意から。
暗夜の礫(あんやのつぶて)
暗い夜に飛んでくる小石のことから、不意に受ける防ぎようのない襲撃のこと。また、思ってもみないこと、あてずっぽうなことについてもいう。
Rのない月の牡蠣はよくない(あーるのないつきのかきはよくない)
英語の月名でRの文字が入っていない月(5月~8月)の牡蠣は食べるべきではないということ。 この時期は牡蠣の産卵期にあたることから。 May(5月)、June(6月)、July(7月)、August(8月)このように5月~8月はRの文字が入っていない。
帷幄の臣(いあくのしん)
参謀のこと。「帷幄」は垂れ幕や引き幕のことで、その幕を張り巡らした本陣で主君を補佐し、作戦計画を立てる臣の意から。
いい気なものだ(いいきなものだ)
他人の思惑も知らずに、当人だけが得意気に振る舞っている様子を非難めかして言った言葉。
異域の鬼となる(いいきのおにとなる)
外国で死ぬこと。「異域」は外国、「鬼」はは死者の意。
いい面の皮(いいつらのかわ)
割に合わないことやひどい目に遭ったときに、嘲笑的に言う言葉。
言う口の下から(いうくちのしたから)
言ったとたんに。言ったすぐあとから。
言うまいと思えど今朝の寒さかな(いうまいとおもえどけさのさむさかな)
どうしようもない寒さだと分かりつつも、今朝の寒さに耐えられず、思わず「寒い」と言葉に出してしまった気持ちを詠んだもの。
家売れば釘の価(いえうればくぎのあたい)
どんなに高価な家でも、売るときには釘の値段ほどの価値しか残らないということ。
家に女房なきは火のない炉のごとし(いえににょうぼうなきはひのないろのごとし)
家に主婦がいないのは、炉の中に火がないのと同じで、大事なものが欠けていて寂しいということ。
烏賊の甲より年の劫(いかのこうよりとしのこう)
年長者の豊富な経験を尊重すべきだということ。 「甲」と「劫」の音が同じであることをかけた言葉。
如何物食い(いかものぐい)
世間一般の人とは違う趣味や嗜好を持つこと。また、その人。 「如何物」は「如何様物(いかさまもの)」の略で、いかがわしいもの。ここでは、普通は食用にしないもののこと。 普通の人が食べないような物を好んで食べるとの意から。
生き馬の目を抜く(いきうまのめをぬく)
生きている馬の目を抜き取るほどすばやいこと。また、ずるくて油断も隙もならないことのたとえ。
行き掛けの駄賃(いきがけのだちん)
あることをするついでに別のことをすること。また、それにより利益を得ること。 「駄賃」は、馬で荷物を運ぶときの運賃のこと。 馬子が問屋に荷物を受け取りに行く時、他の荷物を運んで運賃を得たことから。
生きとし生けるもの(いきとしいけるもの)
この世に生きているすべてのもの。
息の臭きは主知らず(いきのくさきはぬししらず)
自分の欠点は自分では気づかないということ。 自分の息が臭いことは自分ではわからないことから。
息の根を止める(いきのねをとめる)
殺す。また、二度と立ち直れないように、徹底的に打ち負かす。